天才川島雄三
小津安二郎も成瀬巳喜男も好きですが、川島雄三も大好きです。
病気と戦いながら、1963年に45歳の若さで亡くなりました。
「人間」を縦横無尽にフィルムに焼き付けた数少ない映画監督の一人です。
思い出のフィルムたち
川島の作品は全部で4作品しか見たことがありません。
監督作品は51本といわれていますが、気軽に見ることのできる作品は、おそらく20本もないはずです。
4作品のうち2本は映画館で、残り半分の2本はDVDにて鑑賞しました。
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以下、ご紹介します
幕末太陽傳 1957
川島雄三の代表作です。
多くの映画ファンが傑作と認めます。
古典落語の「居残り佐平次」を下敷きにし、一本の映画を撮り上げています。
主演のフランキー堺の演技の凄さは、特筆モノです。
人間の業に裏打ちされた軽佻浮薄は、圧倒的です。
ちなみに高杉晋作役で石原裕次郎が出演しています。
この映画のテイストはやはり誰にも真似出来ない。
しとやかな獣 1962
若尾文子の独壇場です。
登場人物は、ほぼすべて悪党。
それ以外はお人好しです。
戦後日本の怨念がスクリーンにそこはかとなく漂いっています。
生き延びることの欲動が善悪を置き去りにする瞬間がそこここに現れます。
様式美を追求しながら、鼻につかない構成力は見事としか言いようがないです。
見終わったあと、すごいと口をついた傑作です。
洲崎パラダイス赤信号 1956
ダメ男とダメ女をここまでエレガントに描いた作品は早々お目にはかかれません。
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わたしは、この作品がいちばん好きです
情念の世界をここまで心地よい湿度でどうして描くことができるのか、不思議でなりません。
これが、選ばれし才能の技なのでしょう。
女は二度生まれる 1961
若尾文子の魅力がスパークしています。
これは、最近見たのですが、曰く言い難い作品です。
水商売の女が紆余曲折を経て生まれ故郷に戻る物語です。
ラストシーンが秀逸。
この監督は、「締め」が抜群に上手いです。
あらためて思い知らされました。
叙情にも余韻にも流されず、唐突感も思わせぶりも排除する。
とんでもない手腕であり、力量です。
これからのお楽しみ
映画館で特集が組まれれば、ぜひ行きたいのですが。
とりあえず、もったいないので、少しづつ見ようと取っておいてある4作品。
だから、早く見ようよ。
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