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原作者が描くコミック「攻殻機動隊」の素晴らしさとは

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すべての原点である士郎正宗氏のコミック「攻殻機動隊」全3巻はやはり一筋縄ではいかなかった

攻殻機動隊好きとしては、いつかは登らなければいけない、避けることのできない出発点であるコミック全3巻を読み終えました。なかなかの歯ごたえであり、脳が今もって沸騰しています(先程読み終えたばかりなので)。

  • 第1巻はアニメの下敷きとなっているおなじみのエピソード満載。コミカル色豊かです
  • 第2巻は捜査中心の刑事色の強い物語進行です
  • 第3巻は電脳戦が全面に出てくる1・2巻とは毛色の違う作品です

以下、内容に言及しますので予めご了承ください。

 

基礎的知識について

全3巻から構成されています。

  • 第1巻 攻殻機動隊(THE GHOST IN THE SHELL)
  • 第2巻 攻殻機動隊1.5(HUMAN-ERROR PROCESSER)
  • 第3巻 攻殻機動隊2(MANMACHINE INTERFACE CONTROL PREFERENCES)

1989年から断続的にヤングマガジン海賊版に掲載された作品を大幅加筆修正され刊行されました。

作風は、各巻ごとに異なっており、興味深いです。個人的には第1巻の作風が好みです。カラーページも多く、著者は漫画家であると同時に画家なのだということが明瞭に理解できることでしょう。

 

攻殻機動隊(THE GHOST IN THE SHELL)

ヤングマガジンコミックスより引用

1980から1990年にかけて三ヶ月に一度のペースで掲載されたものがベースとなっています。

著者あとがきには次のように書かれています。

メジャーリーグ初登場という事で 無理にリキまず、それまでの自分の要素を主体にし、紹介的要素を含めて描いた。

第1巻のエピソードをもとにアニメ「攻殻機動隊」はシリーズ構成されていることが見て取れます。

士郎正宗氏の世界観は強固に確立されているのですが、この「原液」をただ薄めただけでは当然にアニメ「攻殻機動隊」のテイストは実現できなかったとものと思われます。アニメ化にあたって相当の作り込みがあったことが容易に想像できます。

この第1巻がその他と比較し特徴的なのは、脚注の細かさにあります。

著者は「注意書き」にて次のように断っています。

当単行本は、欄外の補足説明文が多い為、作品と欄外文を同時進行でお読みになりますと、混乱を招きやすく、又作品の流れが中断されて楽しさを損ないますので、作品と欄外文は別々にお楽しみ頂くのがよろしいかと存じます。

この欄外文は結構な頻度で出てきます。字も小さいのでやたら読みにくいです。が、これがめっぽう面白く、中毒性大。

物語の進行の補足的解説の場合もあれば、使用されている用語の説明、背景となる社会情勢への見解など多岐にわたります。

メモ

コミカルな台詞回しも多く、シリアス一辺倒のアニメテイストしか知らない人は違和感を覚えるかもしれません。

 

攻殻機動隊1.5(HUMAN-ERROR PROCESSER)

ヤングマガジンコミックスより引用

1991から1996年にかけて掲載されたものがベースとなっています。

トグサとアズマのコンビの捜査を中心に物語は進行します。草薙素子は部分的にしか描かれません(「クロマ」という通り名で出てきます)。バトーの活躍も一定程度描かれています。

脚注の頻度は劇的に低下しています。

 

攻殻機動隊2(MANMACHINE INTERFACE CONTROL PREFERENCES)

ヤングマガジンコミックスより引用

1997年に掲載されたものを大幅に加筆修正し、2001年に単行本化されています。

電脳戦が全面に押し出されており、正直読むのに骨が折れ難解です。

著者ははじめに次のようにお詫びしています。

この物語は1991年単行本化・発売された攻殻機動隊「THE GHOST IN THE SHELL」の主人公草薙素子が自称知的生命体現象と融合し公安9課(攻殻機動隊)を去ってから4年5ヶ月弱経過した時点の後日談である。従って公安9課(攻殻機動隊)の物語とは言い難い。タイトルを「攻殻機動隊」にしようかとも考えたが、諸般の事情とかいうものでこうなった。前作同様の内容を期待しておられた読者諸氏には申し訳ないが曲げてご了承願いたい。御免!

ここに述べられているように第3巻は全くの別物と思ったほうがいい作品です。とはいうものの完全に無関係というわけではなく、物語は草薙素子の同位体のひとつであるポセイドン・インダストリアル社考査部長である荒巻素子を中心に進展していきます。

日本霊能局の面々も登場し、物語は抽象度を増しています。

美少女キャラが紙面を覆い、好き嫌いは分かれると思います。

 

物語は続く

著者は第1巻のあとがきで次のように述べています。

表層をなめただけの軽いサイバーパンクもどきで、サルまねっぽい一面もあるが「描いてみて得られる収穫」は結構あった。

これがまぎれもなく謙遜であるのは、多くの世界中のファンが熱狂していることからもわかります。

何十年も前に彼の描いた世界が今や現実化しようとしている今日、その作品がいささかも風化せず、むしろ輝きを増していることに驚きを隠せません。

士郎正宗が提示した未来を後続のクリエイターたちはこれからも引き継いでいくことでしょう。彼らが世に問うアニメや映画それ自体が「士郎正宗の解釈」にほかなりません。

いちファンとしてこれからも攻殻機動隊シリーズを追い続けていきたいです。

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