スパイの装備で最も重要なものは、スパイ本人の頭脳だ
本書は、記憶力を鍛え、思考を研ぎ澄ます方法を演習スタイルを通して学べるように構成されている記憶術本となります。

ロシアで一流の諜報部員を養成するために実際に使用されているものだそうです。
諜報部員の仕事とは、小さな情報のかけらを集めて全体像を構築することです。
どんな記録を残すことも許されない極秘任務の場合、諜報部員が頼れるのは自分の頭脳のみ。膨大な情報を完全に記憶して正確に再現できなくてはならない。
記憶力を強化することによって、
- 情報を扱う能力
- タイムマネジメント力
- コミュニケーション力
も同時に向上することでしょう。

ビジネスシーンでは言うに及ばず、日常生活においても大いに役立つスキルの獲得をあなたも目指しませんか?
本書の構成について
本書は、序章を含め全部で7つのパートから構成されています。
- スパイへの道
- ケースオフィサー
- 非常勤エージェント
- 派遣エージェント
- 工作員
- 分析官
- 二重スパイ
構成としては、
- ある諜報作戦のストーリーに即しながらが、そのストーリーに関する問題(記憶力テスト)を解いていきます。
- 記憶の方法の解説があり、それを理解した上で、課題(「演習」と「脳のトレーニング」の2種類)に取り組みます。
の2セットとなります。
読み進めていくうちに、課題の難易度が上がっていく仕掛けとなります。
記憶に関する基本的な考え方
人は自らの記憶力を100%使っているわけではないと著者は言います。
並外れた記憶力の持ち主は歴史上に有名人を含め多くの例が認められています。
優れた記憶力は一部の人の特殊な能力ではなく、訓練次第ではあなたも開花することが可能であると言えます。
そのための第一歩として、
記憶に関する基本的な考え方を理解しておく必要があります。
- 人間の記憶力で主に問題となるのは、情報を記憶できるかどうかではなく、記憶した情報を必要なときに呼び出して再現できるかどうかである。
- 人間の脳は視覚的イメージを記憶するのが得意であるため、情報を記憶するためのテクニック(記憶術)は、ほとんどが抽象的な言語・数値情報を想像力を使って視覚イメージに変換する手法がとられている。
簡単に言うと、
- 再現するためのテクニックが極めて重要
- 視覚イメージに変換することが大事
ここをきちんと押さえおく必要があなたには求められているのです。
記憶術の3原則とは
記憶術とは、記憶力を強化して実際の出来事や大量の情報を覚えられる方法である。
どのような記憶術にも次の3つの原則があてはまります。
- 関連付ける
- 情報を視覚的にイメージする
- 感情を伴わせる
もう少し詳しく言うと、
- 何かを覚える場合は簡単に思い出せるように、よく知っているものに紐付ける
- 記憶すべき情報を視覚的にイメージすることを柱とし、さらに聴覚・触覚・嗅覚・味覚などを補助的に役立たせる
- 記憶力は感情によって活性化されるために、記憶した情報に感情を伴わせる
必要なものほど覚えやすい
情報は日常的に必要なもののほうが覚えやすいものです。
あなたも経験上、容易に納得できるところだと思います。
動機や必要性は記憶に大きく影響を与えます。
脳はエネルギーを節約したがるため、入ってきた情報を重要なものとそうでないものに分類する。
このメカニズムを利用するのです。
何かを覚えようとする前に、
- なぜそれを覚えたいのか
- それを知っているとどんないいことがあるのか
これらをあなたがあなた自身に対してはっきりさせればいいのです。
面倒かもしれませんが、ひと手間かけることで記憶の定着は違ってくることでしょう。
記憶力を鍛えるにあたって必要なもの
一流のスパイには、見聞きしたことのなかに重要な情報があれば、どんな小さなことでもそれに気づき、その情報を既に知っていることとリンクさせて解釈できる能力が不可欠だ。
記憶力を鍛えるにあたって必要なものは2つあります。
- 物事に気づく注意力
- 気づいた物事(情報)を既知の事柄に関連付けられる想像力
この2つは日常生活を営むにあたって誰もが大なり小なり行っている行為でしょう。
もっと意識的に行うことによって、あなたの記憶力を向上させることができるのです。
そのためのトレーニングが本書を通して可能となります。
ぜひ一度、手にとってみてはいかがでしょうか。

一流スパイの仲間入りも夢ではないですよ。

