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現役人事部長の 雑記blog

「国のために死ねるか」特殊部隊創設者が最期に読む本はなぜ国語辞典なのか

投稿日:2017-04-09 更新日:

 

アマゾンでの評価が気になって⇒

アマゾンにおける書評が圧倒的に好意的であることから興味を持ち、手に取りました。

考えさせられるべきことだらけの良書です。

イデオロギー色の強い内容であるので、良書と言い切ることに異なる意見があるやに思われますが、少なくともビジネスパーソンとしてはたくさんのことを考えさせられました。

その意味で、紛れもなく良書です。

当社の管理職前後の者の必読書に指定したいのはやまやまですが、著者の真意を捉えそこねるものや誤解を積み重ねかねない輩がいるかもしれないので、涙をのんで見送ります。

本当に勉強になりました。

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芯を食った文章

著者は自衛隊初の特殊部隊の創設に関わった元自衛官です。

現在は私塾を開き、企業のアドバイザーをされています。

私は、元特殊部隊員であり、現在も未来も特殊戦の世界で生きていく。しかし、この本は、特殊部隊員でも自衛官でもない、ごく一般的な日本人に向けて書いたものである。

四十二歳の時に自衛隊を辞し、その二日後にミンダナオ島に飛び、三年間暮らしたのこと。

現在は、警備会社でアドバイザーをしながら、護身教室での指導や、ビジネスマン相手に戦術的思考の解説をされている。

私の役目は、自分の経験にもとづく思いを語ること、人に伝えること、そして、人に問いかけることではないか。

この人の書く文章は読むものをグイグイ引き込む生命力に溢れた文章なんです。

内容が尋常ではないことも大きく影響していますが、そればかりではないと思う。

書きたいことの芯が確実にヒットされている魅力的な文章。

特殊部隊の創設

自衛隊初の特殊部隊創設に尽力され、大変なご苦労があったようです。

その部隊が出撃する時は、「絶対的な結果」が求められる。何がなんでも日本人を連れ帰る。部隊が全滅しても絶対に連れ戻す。それは、国家の意志だからだ。あの事件を教訓に、ようやく貫くことを決意した日本という独立国家の意志なのだ。

創設にあたり、準備室長の次の言葉はあまりに印象的です。

君は、米海軍特殊部隊に留学することになる。言っておくが、方針は一緒だ。留学から戻った君の口から「こう教わりました」なんていう台詞は絶対に許さんからな。それは理由にならない。そんなもので、俺は納得しない。なぜ、米海軍特殊部隊がそう教えたのかを、君がその場で確認してこい。そして、報告という形で俺に説明しろ。それで俺が納得したら、はじめて理由になる」

超エリートである準備室長の言動の根幹にピュアな軍人性を著者は認めます。

結果として、留学はなされなかったわけですが、それにしても、この準備室長の合理性の晴れ晴れしさは羨ましく感じます。

このような上司につきたい、もしくはこのような言辞を部下に吐きたいものです。

超訓練

なにもかも手探りで始まったこの部隊の訓練は想像を絶します。

訓練の主眼は、頭と身体を何のためにどう使うのかであり、回復に長い時間を要するものは少なかった。

自分の頭で考え抜くことのできるものだけが、身体を効果的に使用することができるのでしょう。

そんな毎日を過ごしていたからだろう。どんな作戦でも必ず完遂できるまでの自信はなかったが、もし我々が行ってできないのなら、この世の誰が行ってもその任務は完遂できないと思っていた。

組織を預かる身であるならば、だれもが一度はこのような台詞を口にしたいものです。

日本の特殊性

日本という国は、何に関してもトップのレベルに突出したものがない。ところが、どういうわけか、ボトムのレベルが他国に比べると非常に高い。優秀な人が多いのでなく、優秀じゃない人が極端に少ないのだ。日本人はモラルが高いと言われるが、それは、モラルのない人が殆どいないということである。

ここは他国との軍事演習を通じての実感が書かれています。

なるほどと思うエピソードも多く、軍事面からみた文化比較論としても興味深い記述が続きます。

なるほど~

ギブアップ

実は、以前から薄々気づいていたのだが、素養のない者が何に弱いのか判ってきたのだ。彼らは、自分を信じることができないのである。

特殊部隊という極限での任務を遂行しなければならないものは常に問われます。

自分自身に。

そのときに、最後の砦となるのは、やはり自分を信じられるかいなかです。

恐るべき弟子

ミンダナオ島でトレーニングパートナーとして選んだ弟子(本当は師匠のような存在)が二十歳そこそこのラレイン(仮名)という女性だった。

戦いのエキスパートです。

彼女は戦いにおけるリアリズムしか追求しない。

本物の戦闘者だ。

私の知っている世界の一流は、みんなこうだ。学問の世界は知らないが、特殊戦の業界のみならず、あらゆる種類のスポーツがそうだ。とっかかりは感性だが、裏付けには理論を求める。だから、非科学的な説明は決してしないし、独りよがりの理論も持ち出さない。

ぐうの音が出ない日々が続く。

だから、経験があるというだけで自然にリアリズムを追求できるわけではないし、経験がなくても、周到な準備をすればできないことではない。

経験至上主義が軽く吹き飛びます。

「やったことがないのでわかりません、できません」を普通に耳にする昨今。

やったことをやるのは作業。

やったことがないことをやるのが仕事。

君よ仕事人たれ。

仕事論として

戦いの本質に気づく過程で著者は次のように断言します。

我々は「できない」と簡単に口にしてしまうが、実は、できないのではなくて、できるのである。多くの場合は単に、そこまでしてやりたくないとか、そんなリスクを負うならやらないという話である。

最後は覚悟の問題に帰着します。

ここは耳が痛いです。

あらためて自ら見直しをかけたいところです。

結果の如何にかかわらず、頑張ってさえいれば評価されるという、この悪習から、まずは改善しなければならない。

ここは、国を挙げての働き方改革においても大事な論点です。

このような旧来の労働感が払拭されない限りは、効率化・合理化は無限の彼方ですね。

自己満足よ、サヨウナラ。

国語辞典

出撃時に持っていくバックの中に、最後の本を戦う者はしのばせている。

著書の場合は国語辞典だったそうだ。

その理由は痛いような記憶として次のように蘇ってくるという。

嫌だったのだ。本が終わってしまうのが堪らなく嫌だったからだ。バカバカしい話だが、本を読み終えてしまうと、自分も終わってしまうような気がしていた。それが怖くて、読み終えることのない辞書をバックに入れていた。この部隊に向いているとか向いていないとか、特殊部隊員を判別しておきながら、私自身が生きていたいという本能をコントロールできていなかったのだ。

斬れば血の出る文章の典型です。

機会があればぜひ手に取って読んでみてください。

 

水たまりの一滴

新書ですが、中身はほとんど辞書なみの重量級です。

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