2020年に読んで感銘を受けた本たち
今年は思ったほど本が読めませんでした。
読書以外にやりたいことが増えたのが原因となります。
インプットよりもアウトプットに傾いた一年でした。
以下に「フィクション」と「ノンフィクション」に分けて、ベスト3をご紹介します。
- ベスト3とありますが、優劣は特にありません。
- あくまで2020年に私が読んだ本であり、必ずしも2020年に出版されたものではありません。
- ご紹介する本の中には、すでに評論した作品も含まれております。
以下、内容に言及しますので、あらかじめご了承ください。
ノンフィクション
興味の赴くままに手当たり次第、手に取っているのが現状です。
良いものもあれば、時間の無駄もあり、大変勉強になりました。
裸の資本論
Netflixの人気作品「全裸監督」のモデルである村西とおる氏の著書となります。
破天荒を絵に描いたような、ある事業家の一一代記です。
面白くないわけがありません。
血反吐に塗れた彼の人生論が展開されます。
特に、幸福に関する彼の省察は一度は耳を傾けるべきです。
動画の世紀
なぜ、世界中でYouTubeに誰もが夢中になるのか。
多くの人々が、動画を投稿するのか。
その問いに対する良質な答えがここには端的に述べられています。
誰もがクリエイターの時代においては、実は誰もがクリエイターではない逆説を避けては通れないのです。
赤めだか
一芸に秀でるものは、諸芸に通じる。
誰もが当てはまるわけではないものの、著者にはピタリとあてはまります。
実に地味深い文章。
エピソードの面白さを増幅させる語り口が文字の面に滲み出ています。
一度は生でその落語を聞きたいのですが、あまりの人気ぶりにおそらく無理そうです。
フィクション
以前のように、小説を貪り読むことがなくなりました。
しかしながら、無性に恋しくなることがあります。
総理にされた男
偶然に手に取り、大した期待もなく読み始めましたが、大当たりでした。
ジョーズの如く、ぐいぐい引き込まれる。
まさに読書の快楽。
鮮やかな終わり方といい、読後感は極めて爽快です。
世俗の埃に塗れた時に、ぜひ手に取って欲しい一冊です。
三体
前評判は聞き及んでいましたが、これほど緻密で壮大なスケールであるとは。
典型的な文系なので、科学的意匠の数々には幻惑されました。
導入部分のスピード感のなさを我慢すれば、あとは高速ロケット級です。
三部作なので、末長く楽しめそうです。
一人称単数
長編よし、短編よしのオールラウンドプレーヤーである村上春樹氏の最新刊です。
奇妙なテイストは健在でした。
刺激に劣るという一部の意見もありますが、刺激ばかりを小説に求めるのは見当違いでしょう。
刺激に対してはいつかは耐性ができますが、彼の小説に対しては未来永劫無理です。
抽象と具象のあわいにまどろむ小説空間の虜にあなたもなったはずです。