なぜリベラルアーツをあなたは身につけなければならないのか?
現代は個々の人間が、自分の頭で考え、自分の頭で判断して、みずからの人生に新たな局面を切り開いてゆくことが求められている時代です。
このような時代だからこそ「リベラルアーツ」は必要であるのだと著者は説きます。
考える方法や感じる方法の生きた蓄積であるリベラルアーツは、個々人がみずから考え、発想し、自分の道を切り開いてゆくための基盤として、まず第一に必要とされるもの
著者は東大法学部を卒業後、裁判官判事となり、2012年に大学院教授に転身後、多くの著作を発表されています。
著作の中で「絶望の裁判所」は特に有名です。
裁判官、学者、ライターという「生きた人間の営みを対象とする3つの仕事」に関わり、それらの仕事を行っていくための基盤としてリベラルアーツの重要性を何にも増して認識されたと言います。
このような経験から獲得された「生きた知識としてのリベラルアーツ」と「その学び方」について、本書を読むことにより大いに理解が進むことでしょう。
リベラルアーツに関心を持ち、それを主体的に学びたいと思っているにあなたにピッタリの本です。
知は力である
本書におけるリベラルアーツって具体的には何?
本書が扱うリベラルアーツの範囲は以下のとおりです。
- 自然科学
- 社会・人文科学
- 思想 批評
- ノンフィクション
- 文学
- 映画
- 音楽
- 漫画
- 広い意味での美術
結構広範囲ですね。
ワイドレンジな対象をボーダーレスに取り上げ、それらのリベラルアーツとしての共通性を軸に、個々の分野の発想や方法、その焦点を、実例を挙げながら語ってゆきます。
リベラルアーツの起源はギリシア・ローマの時代が始まりと言われています。身につけなければならない知識として、つぎの7つの分野がありました。 文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽。いずれも人間の精神を自由にする基礎的な教養だったようです。
ものの見方の基盤
リベラルアーツとは次の2つの「ものの見方」の基盤であると著者は言います。
- パースペクティブ
- ヴィジョン
- パースペクティブ:広がりと奥行きのあるものの見方
- ヴィジョン:洞察力と直感によりつかむものの見方
これら2つの「ものの見方」を可能とするのがリベラルアーツに他ならないのです。
物事の本質をとらえる力、それらの横断的共通性をとらえる力を身につけ、「心のある知性」、つまり「完成の裏付けのある生きた知性」を身につける
本書の構成
本書は3部構成です。
- なぜ、リベラルアーツを学ぶ必要があるのか?
- リベラルアーツを身につけるための基本的な方法と戦略
- リベラルアーツとしての教養を高める方法ー何をどのように学ぶのか?
- 第一部においては、教養をリベラルアーツの観点から捉え直し、教養を身につけることの意味や効用が詳述されています。
- 第二部においては、著者の独自の視点から、リベラルアーツを身につけるための効果的な各種方法やスキルが紹介されています。
- 第三部においては、様々な書物と作品が取り上げられ、具体的な解説がなされます。
知識と知恵
知恵を出すためには知識が必要です。
知恵の母体である知識は「豊か」でなければなりません。
偏っていたり貧弱であってはダメダメ
豊かな知識とは、有機的で複合的で横断的な知の集合であるはずです。
それこそがリベラルアーツなのでしょう。
生き延びるために知恵を出せと、「誰か」が言う。
その「誰か」が「あなたの心」であることを願ってやみません。