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映画「search/サーチ」原題のsearchingに込められた意味

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ストーリーは、行方不明になった高校生の娘を探す父親の物語となります。

いわゆるミステリーです。

本作のユニークネスは、

最初から最後まで、パソコンの画面上だけで物語が展開してしまう点にあります。

そう聞くと、地味な画面が続いて退屈じゃないのとあなたは想像するかもしれません。

そのような制約の中にあっても、ダレることもなく、緊張感を持って102分が過ぎていきます。

サンダンス映画祭で観客賞を受賞しただけはある納得の出来栄えです。

監督は20代のアニーシェ・チャガンティ。

本作が映画デビュー作品という若き俊才です。

以下、内容に言及しますので、あらかじめご了承ください。

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ミステリーであるために、どんでん返しはお約束となりますが、それが大げさではなく、さり気なく外していくところに、この監督のセンスを感じます。

原題は「searching」

邦題のタイトルは「search/サーチ」ですが、原題の「searching」のほうが本作を端的に表していると言えます。

意味がいくつもの層をなしている秀逸なタイトルです。

searchingは形容詞と名詞では意味が異なります。

名詞の意味は「捜索」や「検索」です。

言うまでもなく、

これらは行方不明になった娘の捜索そのものをズバリ表していると同時に、

父親がネットを検索して娘の行方に、真実にたどり着くことを示しています。

形容詞の主な意味は次の3つとなります。

  • 綿密な・徹底的な
  • (観察などが)鋭い
  • 身にしみる

1つ目は、本作の制作スタイルを示唆しています。

緻密な脚本は驚くばかりです。不自然なところがなく、本当に整合性が取れています。

また、

パソコンの画面上だけで物語を完結させてしまうその徹底ぶりは驚くばかりです。

膨大な編集時間が必要とされたことは容易に想像できます。

2つ目は、父親の「鋭さ」を表しています。

物語の進行上、致し方のない部分がありますが、それにしてもこの父親は勘が鋭いと言わざるを得ません。

絶妙な推理を展開しますが、それを可能にするのがPCであり、ネットのサービスであることは忘れてはならないでしょう。

3つ目は、父親の反省が仄めかされています。

娘のことを見ているようで、何も見ていなかった、なにもわかっていなかったことが、

この事件を通じて「身にしみた」はずであることが丁寧に描かれているのです。

後味は悪くない

見終わったあとの後味は悪くはありません。

ここもまたこの映画の素晴らしいところのひとつであると思います。

ラストに近いシーンは、冒頭と同じく、父親と娘との画面上でのテキストのやりとりとなります。

娘は音楽学院を受験し、その合否を学院のサイト上から確認します。

審査の途中であるために、間をおかず何度も確認するものの、

画面には「pending(審査中)」の文字が現れるばかりです。

これは、おそらく、父親と娘との関係の状態を表しているのでしょう。

事件を通じて親子の絆は確実に深まったのですが、

全てはハッピーエンドでもなく、簡単ではないという親子関係の複雑さが表現されているかのようです。

物語を単純に回収しない上質の演出がなされています。

エンターテイメントとして第一級の作品です。

パドー

機会があれば、ぜひ、御覧ください。

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✒︎ writer (書き手)

人事屋パドーのアバター 人事屋パドー レビューブロガー

本サイト「シンキング・パドー」の管理人、人事屋パドーです。
非常に感銘を受けた・印象鮮烈・これは敵わないという作品製品についてのコメントが大半となります。感覚や感情を可能な限り分析・説明的に文字に変換することを目指しています。
書くという行為それ自体が私にとっての「考える」であり、その過程において新たな「発見」があればいいなと毎度願っております。

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