仮想通貨の熱狂も今何処の感が強いですが、あなたはビットコインの生みの親をご存知でしょうか?わたしは興味津々で、いろいろ調べています。
2017年から我が国においても、たびたびニュースでとりあげられている仮想通貨(暗号通貨)。
「億り人」といった今まで聞いたこともないワードがニュースで話題にもなりました。
そのフィーバーぶりも2018年の夏現在、沈静化方向にてクールダウン状態が続いて久しいです。
投資に興味がなくても、
あなたもビットコインという名前を耳にしたことがあると思います。
その生みの親がサトシ・ナカモトという名前の人物です。

サトシ・ナカモトって言うぐらいだから日本人なの?

それが、そうでもないらしいんだな、偽名らしい

なんだか怪しい匂いがプンプンするねえ

怪しくはないんだけど、どうにもミステリアスな人物らしい
結論から言いますと、サトシ・ナカモトが誰であるのかは現在も何ひとつわかってはいません。
THE WHO?(誰なの?)

彼は誰なんだ?

彼に直接会った関係者はいません。

ひょっとしてAIなの?

違います。

誰も彼の正体を知りません。

限られた人たちがメールでやりとりをしていただけです。
決して人前には姿を現さず、どこまでも匿名性をまといながら、2011年に煙のようにその痕跡を消しました。
正体が未だ不明の人物なので、
本エントリーは謎に包まれたサトシ・ナカモトについての限定的な内容となります。

内容の多くの部分を名著の誉れ高い「デジタル・ゴールド」に負うていることをあらかじめお断りしておきます。
参考とした「デジタル・ゴールド」はビットコインの誕生から現在までを関係者への丁寧な取材に基づき構成されたノンフィクションです。物語としても大変に面白い一冊です。
ビットコイン白書の登場
正体不明の人物が暗号に関するメーリング・リストに仮想通貨「ビットコイン」の概念を発表したのは2008年のことです。
現在、「ビットコイン白書」と呼ばれる8ページにわたる解説(現在のバージョンは9ページ)に興味を示したのは、実質的にはハル・フィニーただ一人であったそうです。
ハル・フィニーは、プログラマーであり、初期のビットコイン伝道者です。難病に冒されていたため長い期間にわたりビットコインに関する取り組みから離れることとなります。
8ページに込められた強い思い
メールに添付された8ページのPDFには冒頭にサトシ・ナカモトの狙い(思い)が直裁的に記されていました。
私は完全にP2Pで、第三者機関(TTP)にまったく頼らない新たな電子マネーシステムの開発に取り組んできた。(I’ve been working on a new electronic cash system that’s fully peer-to-peer, with no trusted third party.)
個人の自由に最大限に配慮する思想が見て取れます。
ハルとの関わり
ある意味盟友とも言えるハルとはメールにより多くのやり取りがあったそうです。
サトシ・ナカモトはメールには個人的なことは一切書かない主義を貫きます。
ハルはかつて彼の素性を特定しようとIPアドレスを調べた過去を持ちます。
しかしながら、カリフォルニア州のインターネットプロバイダーによるIPアドレスであることがわかったのみでした。
マルティとの関わり
ビットコインを世に送り出し広めた最初の功労者のひとりであるマルティ・マルミに対して、サトシ・ナカモトは次のようなメールを送っています。
僕は文章はあまり上手じゃないんだ。コードを書くほうがずっと得意でね。
多分に謙遜があるようですね。
論理的な思考の持ち主は文章構成力も優れているのに違いないのだから、そうは言い切れないはずです。
ギャビンとの関わり
ギャビンは初めてのメールでサトシ・ナカモトに対していくつかの個人的な質問をします。
しかしながら、サトシ・ナカモトはそれらの質問のすべてを無視します。
そのためにギャビンはそれ以上尋ねることをやめてしまいます。
どこまでも素性を明らかにしない姿勢を彼は崩そうとはしません。
イギリス出身なのだろうか?
サトシ・ナカモトは時折、イギリス英語のスペルやイギリスのスラングを使用したようです。
サトシのパソコンで生成されたビットコインの最初のブロックにはイギリスのニュース記事の一部が組み込まれていることがわかっています。
これらの事実やネイティブスピーカーであると疑う余地のない語り口であることから、ギャビンは、サトシ・ナカモトはおそらく偽名であろうと今でも思っているようです。
イギリス出身であるかいなかは現在も確認のしようがありません。
サトシ・ナカモトという名前を聞いたときに、なぜだかカズオ・イシグロが直ちに思い出されました。全く無関係ではあるのですが、どうもカズオ・イシグロ氏のビジュアルイメージが頭を離れません。(カズオ・イシグロは2017年にノーベル文学賞を受賞したロンドン在住の小説家。主著に「日の名残り」「わたしを離さないで」「充たされざる者」ほか)
2010年5月の久しぶりのメール
音沙汰のなかったサトシ・ナカモトはマルティへ久々にメールを送ります。
先月は他のことで忙しかったんだ。僕のいないあいだキミがいろいろ取り仕切ってくれてうれしいよ。
新たな試みがなんであるのかは定かではありません。
サトシ・ナカモトの心がビットコインから徐々に離れつつあることが見て取れます。
フェイドアウトの準備は着々と
サトシ・ナカモトはビットコイン関連のチャットに顔をだすことは決してありませんでした。
2010年になると、ギャビンら数人のプログラマーと時々、直接やり取りをする程度となります。
ウェブサイトの連絡用メールアドレスをギャビン宛にしてほしいとの要請の後、サトシ・ナカモトは自らのアドレスを消してしまいます。
雲隠れする準備は着々と進められていました。
最後のメール
サトシ・ナカモトが最後にメールを送った相手はマルティです。
ビットコインに関するサイトを一任したいという内容となります。
もう別のことを始めたから、悪いけど今度いつ戻るかわからない
そうして、2011年5月、彼は煙のように消えました。
煙のように消え去る男
ビットコインの考案者であったサトシ・ナカモトは、2011年にユーザーがアップデートや改良のできるオープンソースソフトウェアを残し、連絡を絶ちます。
「デジタル・ゴールド」には次のような記述があります。
サトシ・ナカモトがなぜ匿名性にこだわったのかに対するひとつの見解です。
サトシが身を明らかにしないのは、ビットコインは個人的名声や成功を求める人間によってつくられたわけではないことを意味していた。しかもサトシの不在によって、ユーザーは、ビットコインに対して自らのビジョンを投影することができた。
本書を読み進めるとビットコインが多くの偶然に助けられながら、難産の末に世に広まったことがよく理解できます。
サトシ・ナカモトはビットコインを軌道に乗せるために、考案者である自分はどのような立ち位置であることが最善であるかを先の先まで精緻に考え抜いていたように思えます。
その答えが、最初から最後まで匿名性を貫徹することに他ならなかったのでしょう。
もしかすると、あと何年かして自ら名乗り出て、種明かしがなされるかもしれません。
今もなお、煙のような男は煙のまま、依然として姿を現してはいません。

もしかすると、トンデモナイ次の何かに悪戦苦闘のさい中であるのかもしれませんね。
仮想通貨という名の可能性
仮想通貨の可能性に世界は取り組み始めたばかりです。
今、金融を中心に世の中の仕組みはガラリと変わる予感に満ち溢れています。
ビットコインに代表される仮想通貨は現在、投棄や投資の対象としての側面ばかりがクローズアップされています。
それゆえにここまでの爆発的な広がりが達成されていることも否定はできません。

サトシ・ナカモトの理念が形になるまでにはもうしばらく時間がかかりそうです。
彼の理念は多くの人々に共有され、確実に「かたち」になって広がりつつあります。

