MB氏の新刊が出たので急いで読んで、今回も励まされました
ファッション伝道師のMBさんの新刊「幸服論」が出版されました。
書かれている内容は、これまで彼がさんざん言ってきたこととなります。
ゆえに、焼き直しじゃないかとの意見も耳にします。
よく読んで下さい。
本書は彼の思想の集大成となっています。
初めて彼の著書を買い求めるときは、テクニカルなもの、手っ取り早いものを欲している場合が大半であると思われます。
そのような場合は次の著作に目を通すことにより満足度が高まるはずです。
私も買って読みましたが、とても実践的な書物です。
すぐに使えるノウハウ満載です。
一方、本書はそのような実用性は最小限に留められています。
彼が体系化したオシャレの法則はもちろん掲載されています。
それが本書の前半のチャプター1と2に当たります。
これまで彼の理論になじんできた者にとっては目新しさはありません。
言い切るならば、本書を読む意味は後半のチャプター3と4にあります。
- チャプター1と2は、オシャレのスキルが書かれています。
- チャプター3と4には、仕事に関するノウハウと人生論が述べられています。
ブログやメールマガジンで断片的に書かれていた彼の人生論をこのようなまとまった形で読むことは貴重な機会です。
貴重な機会であると同時に多くの気づきを与えられます。
たかがファッションの破壊力
誰もが自分を変えたいと強く思っている現代。
本が売れないと言われながらも、自己啓発本は一定以上の売上を常に叩き出しています。
しかしながら、
自己啓発本を読んでも、ただちに生まれ変われないことにあなたも気がついているはずです。
そう、人は簡単に変れません。
MBさんは言います。
自己啓発本を読んで人生に変化が生じる人は100人に1人だとして、ファッションをツールとした場合は100人中99人の人生が変わります。
ホントかなあと思いました?
あなたはこの言葉を直ちに否定するでしょうか。
思い出してください。
お気に入りの服を着て出かける前の高揚感を。
街中を闊歩して正々堂々とした気分に包まれる自分自身を。
たかが服が違うだけで、気分がまるっきり違うという事実は否定できないはずです。
そのような感覚があなたにも訪れたことがありますよね?
人生はこのようにして変わるのです。
大層に根本から変わらないとダメだ、内面から磨かれなければ本物ではないと口にするのは簡単です。
そのような戯言を百万回繰り返しても、実のところ何も変わらないのです。
MBの理論に触れたとき、わたしは直ちにネットで有名なある格言を思い出しました。
上手いことを言う人が世の中にはいるものだと感心した覚えがあります。
外見は内面の一番外側である
目からウロコでした。
レトリカルにうまいということもありますが、何よりも本質をついています。
ファッションは世界で最も手軽な自己変革の手段なのでしょう。
いますぐ実現可能で、しかも結果がすぐにわかる素晴らしい方法なのです。
MBの思想
MBの思想は次のように言い表すことができます。
おしゃれになると
自信がつく
ほめられると
差別化できる
彼にとってオシャレは人生そのものですが、あなたはどうでしょうか。
わたしは違います。
しかしながら、彼が言う、差別化しなさいという理路は非常によくわかります。
共感できます。
オシャレになるとは、自分勝手から一番遠いところにある考え方です。
他者の目を意識するところから始まるからです。
社会的動物である我々は他者の存在なしに生存できません。
ファッションはそのことを意識的なレベルで自覚させてくれます。
差別化とは個性化と同義です。
個性とは他人に認められる「違い」にほかなりません。
「他人に認められる」とは「他人を認める」と表裏一体にあります。
ひとは一人では生きていけません。
当たり前ですよね。
地球上に自分一人だけならば、誰がファッションを気にするでしょうか?
不毛です。
当たり前ですよね。
彼の言う幸福とは
世の中の価値観を相対化する次の文章に出くわしたとき、自分がいかに世間の基準に絡め取られているのかが理解できました。
いい車に乗っている、美女を連れている、学歴がある、権威がある、技術がある、人望がある、そんなものはすべて誰かが言ってきたことであなたの幸せとはまったく関係がありません。
世間的価値観を頭から無視して「自分の幸せ」を確立できるところにわたしは立っていません。
毒が回りすぎていますし、この先、悟りも開けないでしょう。
悲しい事実ですが。
けれども、この言葉を知ることにより、振り回されそうになったときは少しは踏ん張れるかもしれないと今は思えます。
それだけでもぜんぜん違うのです。
あなたはどうでしょうか?
人柄がにじみ出るあとがき
彼の人柄は彼の紡ぎ出す文章ににじみ出ています。
特に本書の「おわりに」はこころに届いてくる文章です。
この「おわりに」を読むだけでも本書を読む価値は十二分にあります。
MBのファンでもそうでなくても、一度は目にしてほしい文章です。