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ニガミ17才 異常を飼いならすエレクトロニックポップ

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ハマるか拒絶するかを迫る二者択一の異色のバンド

出典:公式サイト

「ニガミ17才」は「おしゃれ且つ変態な楽曲の表現」というテーマのもと、2016年に結成された4人組のバンドです。

彼らが創り出す音楽は、圧倒的な中毒性を有していますが、どうしても無理や理解不能という評価も少なくありません。

ボーカルの容姿が個性的にすぎることと、歌詞のでたらめぶりが大きく影響しているためでしょうか。

メンバー構成は、岩下優介(Vo)、小銭喜剛(Dr)、イザキタツル(Ba)、平沢あくび(Syn)となります。

・岩下優介は、元「嘘つきバービー」のボーカル兼ベース担当です。バンド解散後に「ニガミ17才」を結成。「嘘つきバービー」はアングラ色の強い前衛ロックバンドというカテゴライズでしょうか。
・平沢あくび(Syn)は、元女優、映画「ノルウェイの森」に出演経験があります。バンドに参加する前は楽器の演奏経験はなかったそうです。

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彼らの奏でる音楽は、「サイケデリックミュージック」や「カットアップミュージック」ともカテゴライズされますが、「エレクトロニックポップ」が私には一番しっくりときます。

MVはこれまた個性的かつ刺激に満ち溢れているために、生理的に無理な人は絶対に無理でしょう。

もちろん、我慢する必要などないのですが、辛抱強く彼らの音楽に身を浸し続けることができるのであれば、あなたは彼らの虜となること間違いなしです。

食わず嫌いであるのならば、そんなもったいないことは直ちにやめるべきでしょう。

MVの困惑的魅力

出典:公式サイト

二枚のアルバムをリリースし、2020年にはシングル「幽霊であるし」を発表しました。

現在、MV(ミュージビデオ)は4作品見ることができますが、そのどれもこれもが、独自の世界観に染め上げられています。

  • おいしい水
  • ただし、BGM
  • 化けるレコード
  • 幽霊であるし

ボーカルの岩下の風貌とカオスとしか言いようのない歌詞世界に頭を殴れることでしょう。

刺激的な数分間があなたを包囲します。

ドラムとベースが実現する確かなリズムに酔いしれながら、ツインボーカルが呪文のように繰り返すリフレインがあなたを現実世界から少しづつ引き剥がすはずです。

最新作の「幽霊であるし」は気鋭のクリエイティブレーベルである「PERIMETRON」の製作です。

本作品のコンセプトはおそらく、江戸川乱歩の世界であると想像します。

キーカラーである「深緑」は、昭和が醸し出すノスタルジックなエロティシズムを否応なく想起させるのです。

岩下の滑舌の良さと、声質の心地よさはある意味、風貌と反比例していると言えば言い過ぎでしょうか。

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異常を飼いならすエレクトロニックポップ

出典:公式サイト

ギター、ベース、ドラム、キーボードという構成からなるバンドが実現する音は、驚くほど重層的です。

テクノポップの一種であると評しても違和感のない「幽霊であるし」に顕著に見られますが、リズムを聴かせようという姿勢が前面に出てきています。

ひとえに、リズムセクションの確かなテクニックによるものでしょう。

最近の売れるバンドは、例外なくリズムセクションの強さを持っています。イザキタツルのベースラインはどこまでも魅力的です。

出典:公式サイト

MVを観ればお分かりの通り、このバンドが構築しようとしている音楽世界(音楽性)は一言でいうと次のようになります。

非有機的世界に有機性を無理やりに導入すること

彼らが繰り広げる音楽性は、本来的にはテクノロジーを駆使しながらひたすらに打ち込み、単独で仕上げることが可能なミニマムな音作りと見紛うかもしれないものでしょう。

しかしながら、似ているようで違うのです。

生理的感覚をピンポイントで刺激する音を注入します。

バンドという形にこだわりながら。

演奏する主体である人間の持つ生理的なブレや揺らぎに委ねるのです。

ここでいう有機性とは「異常」の別の名であることは言うまでもありません。

出典:公式サイト

岩下は、周到に「異常」を飼い慣らし、自らの音楽に大衆性を取り入れようと試みています。

それを可能とするのが岩下の「才能」であり、バンドが持つ「潜在性」なのでしょう。

曲を発表するごとに、洗練化され、ポップになっていきます。

分解し、結合し、断片化し、再構成することによって生まれるこの素晴らしい音楽を楽しまないとは、あまりに損ですよ!

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✒︎ writer (書き手)

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本サイト「シンキング・パドー」の管理人、人事屋パドーです。
非常に感銘を受けた・印象鮮烈・これは敵わないという作品製品についてのコメントが大半となります。感覚や感情を可能な限り分析・説明的に文字に変換することを目指しています。
書くという行為それ自体が私にとっての「考える」であり、その過程において新たな「発見」があればいいなと毎度願っております。

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