その破壊力と浸透度は今もなお、増殖し続けている

YMOと出逢って、数十年が経ちました。
とっくの昔に解散したグループの遺した音に今も魅了され、ことあるごとに聴き続けています。
以下に書き綴るのは、ごく私的なYMOに対する思い入れの強さをランキングしたものです。
そこには、気の利いた技術論的アプローチも、誰も知らないレアなエピソードも垣間見られません。
ただの感想がただただ述べられているに過ぎないのです。あらかじめご了承ください。
10位 TECHNOPOLIS(Solid State Survivor)
当時、CMでもかかっていました。
彼らの知名度を一気に上げた代表作のひとつです。
未来はそこまで来ているという予感をあたりに撒き散らし、誰もが希望を信じて疑わなかった時代の徒花だったのかもしれません。
今聴いても、何ひとつ色褪せていない点が驚異の一言です。
9位 Limbo(SERVICE)
バンドとしてのピークを過ぎた後期の作品です。
令和のこの時代、ここにきてアルバム自体の再評価も見て取れます。
でも、発売当初は好意的な批評は皆無であったと記憶します。
完成度の高いプロの仕事として、今もよく聞きます。
とてもキャッチーなリフレイン。
8位 Chinese Whispers(SERVICE)
これも先ほどと同じアルバムに収録されています。
物語をひとつの曲に凝縮させた、その構成力は天晴れの一言です。
追い込まれた状況での切迫感と死への誘惑が程よいブレンドで醸し出されています。
7位 Hi-Tech Hippies(Technodon)
待ち侘びたいファンの肩を落とさせたアルバムの中でも、比較的評価の高い作品です。
これがテクノの最新形であり原型であることが、控えめに語られています。
明るいと暗いが食い合いながら楽曲が成立する。
これがテクノなのでしょう。
6位 pure jam(Technodelic)
最高傑作の誉れ高いアルバム「Technodelic」のオープニングを飾る曲です。
前作「BGM」路線を引き継ぎ、どこまでも内省的な曲が続きます。
この時点で、彼らの音楽性に別れを告げたファンもたくさんいました。
言うまでもなく、私の場合はどハマりです。
5位 Camouflage (BGM)
それまでの作風をガラリと変えて発表された「BGM」は賛否両論でした。
いわゆる問題作です。
わかりやすいポップさは影も形もありませんでした。
これが彼らの目指してきた音楽なのかどうかは今もわかりません。
しかしながら、この曲に代表されるように、表層も深淵も紙一重であり、実のところ同一なのであるという「奥の深さ」が見て取れる楽曲はどこまでも魅力的です。
4位 1000Knives (BGM)
坂本龍一のソロアルバムの収録バージョン(こちらが先)と聴き比べてみてください。
バンドで音楽をやることの意味が明瞭に理解できるでしょう。
ここにはより有機的な音の生成が散見されます。
都市の、システムの、情報の、増殖が音として立ち上がってきています。
この曲名を耳にすると、いつも「ミルプラトー」と「遊戯王」を思い出します。
3位 Light in Darkness (Technodelic)
音楽は、音の空間的配置に他ならないことを立証している作品。
汗臭さが微塵も感じられない音楽は今では貴重です。
細野晴臣のベースは、控えめでありながらどこまでも雄弁です。
魂の存在を信じたくなる静謐な音の連なり。
2位 RYDEEN (Solid State Survivor)
誰もが一度は耳にしたことのある代表曲。
80年代に、近田春夫の解説とともにこの曲がラジオから流れ出てきたことを私は決して忘れはしないでしょう。
衝撃。破壊。光明。
この名曲は時代と同衾したにもかかわらず、どうあっても色褪せない、その永遠性には脱帽です。
1位 Seoul Music(Technodelic)
邦題は「京城音楽」。
大嘘ではなく、1000回以上繰り返し聞いている。
韓国にはいささかの関心もないが、この曲には骨の髄までいかれてしまっている。
何かが決定的に終わった後に、それでも尚、歩みを止めることのできない明るい絶望がこれでもかという程に表現されている。
ベースラインの美しさは、 YMOの楽曲の中でも随一であろう。
奇妙なドラムパターンと相乗効果を最大限に発揮し、リズムの楽園が現実化している。
他国を通して、ジャパンが白日の元に赤裸々に晒されているのです。
反復することの喜び

とりあえずのベスト10を書き終えた今も、あれも入れるべきだ、これが脱けることはおかしいとの葛藤が私を包んでいます。
才能が出会い、化学反応を起こし、時代のアレンジを受けた天才集団の作品群は、当たり前のことなのですが、どれもこれも名曲ばかりです。
これから先は、「新曲」には巡りあることは決してできないのですが、聞くたびにそのフレッシュさを感じられるはずです。
繰り返し繰り返し、寄せては返す波のように聴き続けていくのでしょう。

YMOよ、永遠に。

