本当の「働き方改革」を実現する業務プロセスのデジタル化
株式会社NTTデータイントラマート代表の中山義人氏は言います。
これからはAIの時代が始まる。自分で考える力がより重要になる時代だ。本書を通じて、「自分が本当にやりたい仕事は何だろう」と考え直す好機になればと願っている。
小手先の取り組みでは働き方改革は実現しないという認識が著者の考えの根底にあります。
労働生産性を向上させて初めて、個々人の多様な働き方は実現されます。
そのために、非効率な業務プロセスを見直し、重複した業務を整理したり、
あるいは単純な作業はコンピューターなどのデジタル技術に任せて、従業員はこれまでに培ったスキルや本来の能力が発揮できる業務に集中しましょうと中山さんは提言します。
そして、組織全体の生産性と効率を高めていくことが重要である。
- システム部門
- 経営層
- 業務効率の向上に悩むマネージャー
本書の構成について
本書は全部で6章から構成されています。
- 働き方改革は生産性の向上が必須
- 生産性の向上のカギは「業務プロセス」にある
- 業務プロセス全体を俯瞰して改革に取り組む
- 変革に向けた業務プロセスのデジタル化
- 組織を超えた「つながり」が生み出す共創価値
より良い働き方のために
ご存知のように、労働時間の長さで収入を増やす時代はもはや過ぎ去りました。
すなわち、残業を前提にする働き方は、収入面や生産性の側面からも、流行らないのです。
ゆえに、働き方改革の実行が要請されます。
働き方改革の本質は、
多様な働き方を認め、短時間で高い付加価値を生み出すことにあります。
そのためには、
「業務の属人化」を見直し、「業務効率の悪さ」「業務の標準化不足」を解消しなくてはなりません。
業務プロセスのデジタル化はそのための有効な解決策であり、組織全体の労働生産性を向上させることを可能とします。
業務プロセスを見直してデジタル化を進めることにより、「業務の属人化」「業務の標準化不足」の課題を解消し、長時間労働の原因である「業務効率の悪さ」にメスを入れていく。
生産性の向上を目指して
生産性を高める付加価値は、業務プロセスから生み出されます。
まずは、業務プロセスには、階層(レイヤ)があることを意識しましょう。
顧客のニーズの多様化、働き側の多様化によって、業務プロセスの見直しは職場における不可避的なテーマとなっているはずです。
業務プロセスを再構築し、デジタル化・自動化を推進することで、業務効率は大きな向上を見込めます。
業務プロセスの全体を俯瞰する
業務プロセスは事業の進展・変遷とともに複雑化・陳腐化し、個別最適化が進みがちです。
全体最適のためには、正確なデータに基づき、業務プロセスを俯瞰し、標準化することが不可欠なのです。
間接業務や定型業務だけでなく、顧客ニーズなどで変化する直接業務のプロセスまでの変革を対象にしなければなりません。
千差万別の直接業務であっても、最新のデジタル技術で効率化や自動化を図ることが可能となります。
業務プロセスのデジタル化の波
業務プロセスのデジタルトランスフォーメーションが、現在、あらゆる業種で起こり始めています。
業務プロセスの可視化と改革の効果測定がITツール・システムの利用によって、可能となっています。
RPA、AI、ODRなどのデジタル技術での活用で、業務プロセスはフルオートメーションに進化していくのでしょう。
業務プロセス改革で働き方を変えていく
業務プロセス改革のシナリオでは、標準モデルの定義とその継続的な改善が大事になってきます。
業務プロセス改革に取り組む体制をまずは社内で整備する必要があります。
働き方改革に向けて、経営者が覚悟を決めることが必要なのです。
外部と共創し、チャレンジを許容する社会的な受容性の拡大が何よりも期待されます。
業務プロセスの改革において、近道はない。組織全体を巻き込み、意識を変えさせ、次の世代にその取り組みを継承するには、戦略的な仕掛けが必要である。