モチベーションを下げている仕事のやり方や慣習を排除しよう
業務プロセス改善のエキスパートである沢渡あまね氏は言います。
動機付けとコミュニケーションの促進は、すべてのマネージャーに求められると同時に、さらにその重要性が高まっています。
メンバーの士気や主体性を高めようとするあまり、ついついマネージャーは張り切りすぎてしまう傾向にあります。
- 無理に雰囲気を盛り上げようとする
- 細かく指示をしすぎる
- コーチングで学んだ手法などを駆使し過ぎようとする
当然ながら、やればやるほど現場は冷めてしまいがちです。
だったら、逆転の発想でいきましょうと著者は提案します。
「モチベーションを下げているものをなくせないか?」
職場を見渡せば、足を無駄に引っ張っているものの多さにあなたは驚くはずです。
- 形骸化した朝礼や飲み会
- 一方通行のチームミーティング
- 誰も読まない日報
- 上位下達の育成、指導
- 差戻し必須の報告、稟議
モチベーションを無理やり上げるのではなく、モチベーションを下げている仕事のやり方や慣習をあなたの周りから排除すればいいのです。
それが、結果的にメンバーのモチベーションを上げる近道なのです。
やめることから始めてみませんか?
- 業務改善を切望している方
- 部下のパフォーマンスを上げたいマネージャー
- マネジメント力を上げたい方
本書の構成について
本書は全部で6つのパートから構成されています。
- 「やめる」ことから始めよう
- モチベーションを下げないために、しないこと
- 円滑なコミュニケーションのために、しないこと
- 迅速なコラボレーションのために、しないこと
- 生産性を高めるために、しないこと
- ちょっと長めの「おわりに」
職場に潜む2匹の妖怪
それは、
- 妖怪「モヤモヤ」
- 妖怪「常識」
この2匹の妖怪が、私たちの職場に悪気なく棲みつき、生産性やモチベーション、ひいては、メンバーのエンゲージメントの足を優しく引っ張り続けているのです。
妖怪「モヤモヤ」の正体
とりわけ妖怪「モヤモヤ」は厄介です。
モヤモヤが蔓延している職場では、モチベーションアップや生産性向上のための施策は空回りとは言わないまでも、その効果は極めて限定的です。
モヤモヤの具体例として代表的なのは次の8つです。
8つの例
- 目的が見えない
- 期待値が不明
- 結果を知らされない
- 現在地不明
- 予定が見えない
- 終わりが見えない
- 誰が何を得意なのか見えない
- 決めない
このような状態を放置しておくと、環境は悪化の一途をたどります。
- 無駄な忖度
- 準備不足
- 思考停止
- 熱量低下
- 余計な先走り
- 帰れない
- やらされ感
モヤモヤをなくすための3つの原則
現場のモヤモヤをなくすためには?
3つの原則
- わかりやすい振る舞い
- 積極的な情報開示
- 主体的な想定
まずはこの原則をよく理解しましょう。
モヤモヤをなくすための2つの行動
いままでの習慣や振る舞いを変えましょう。マネージャーに求められている行動は次の2つです。
2つの行動
- 新たに何かを始める
- いままでしてきたことをやめる
不確実性の排除、すなわちモヤモヤの排除がチームのパフォーマンス向上につながる。そしてその鍵は、マネージャーであるあなたが何をやめるかにあります。
モチベーションを下げないために、「しないことリスト」
心当たりありませんか?
次の8つです。
- 「こんなことも、できないの?」
- 「愛社精神を持て」
- 「主体性を持て」
- 「やらされ感で仕事するな」
- 人前で叱る 叱るときや、ケチをつけるときにしか登場しない
- 下手にモチベーションを上げようとする
- 部下の話を聞かない
- 部下の手柄を横取りする
4の「人前で叱る」は言語道断ですね。8もあり得ない。
モチベーションをあげる近道
繰り返します。
次の2つの合わせ技です。
- モチベーションを無理に上げようとしない
- モチベーションを下げている仕事のやり方や習慣を排除する
わざわざ何かを始めるのではなく、それらをやめることから、現場の空気を明るくしていきましょう。
ついつい手を出すことが、一言いってしまうことが、余計なことになりがちです。
ぐっとこらえて、飲み込んで、部下を見守りましょう、待ちましょう。
余計なことをしないを徹底するうえで大事なことは、忍耐、すなわち、部下を信じて待つ気持ちかもしれません。