中途採用ビジネスはこれから10年でどう変わるのだろうか?
本書は、転職支援サービスを運営する黒田真行氏とミライフ代表の佐藤雄佑氏の共著となります。
黒田氏は言います。
人材ビジネスで働かれている業界の皆さんはもとより、これからリクルーティングビジネスに挑もうとしている皆さん、あるいは産業の変化の一つとして、客観的にこの業界に興味を持つ皆さんにとって、少しでも羅針盤となる情報を提供できれば幸いです。
日本のリクルーティングビジネスを俯瞰的に一気通貫できる本書は貴重です。
「業界」の中の人だけではなく、採用に携わる人事パーソンの方々にも示唆に富む内容となっています。
- 純粋に人材業界の過去・現在・未来について勉強したい方
- 今の人材業界に健全な危機感を感じている方
- 人材業界・サービスを上手く使いこなしたい人事
本書の構成について
本書は全部で7章から構成されています。
- 職業選択の広がりと採用ビジネスの100年
- 求人広告と人材紹介
- 2つの人材ビジネスの誕生
- リクルーティングビジネスにおけるビジネスモデル変遷
- リクルーティングビジネスの新潮流 人材業界のディスラプター
- 人事採用部門は変化にどう対応すべきなのか?
- リクルーティングビジネスの未来シナリオ
2030年の働き方
働き方の未来を考えるにあたって、著者は2030年の未来をひとまず想定し思考を走らせます。
2030年の働き方を考える上での社会的前提は、
- さらなる少子高齢化
- テクノロジーの進化
となります。
20歳前後で働きはじめて70歳以上でリタイアするために、職業寿命(人生)が50年あまりとなるのです。
その時々で保有しているスキルだけでは、それから先にわたって働いていくことが難しくなり、スキルが陳腐化しないように自らが変化(精進)していく必要に迫られます。
すなわち、
当然これまでのように終身雇用で一社でキャリアを全うすることは難しくなってくるといえます。
人生二毛作を前提としたキャリアプランが少なくとも必要となる時代にあなたは働かなければならないのです。
個人個人が自分のキャリアに主導権を持って、自身のキャリアデザインをしていくという生き方、働き方に高速で対応していく必要があります。
企業側のニーズと求職者側のニーズ
企業側のニーズと求職者側のニーズは各々次のようになります。
企業側のニーズ
「優秀な人材」を「手間なく」、「安く」採用できるサービスが出てくれば、大いに利用することとなります。
特にコスト面での不満は大いにあります。
このようなサービスが出てくれば、今後は既存の二大人材サービスである「求人広告」、「人材紹介」からのシェアの移動は必至となるでしょう。
求職者ニーズ
求職者はリクルーティングサービスを利用するにあたって、次の3つの不安を抱えています。
3つの不安
- 自己のキャリアの方向性に関する十分な情報収集ができるのか
- 具体的な企業・案件を探し出せるのか
- 転職活動支援は十分なのだろうか
現行のサービスにおいても求職者の不安解消のためのサービスの向上は図られているものの、よりきめの細かい対応を求めているのが現状のようです。
したがって、
全体を俯瞰して情報の非対称性を埋めてくれたり、フラットな立場でアドバイスしてくれるサービスは求職者価値が高いと言えます。
リクルーティングンビジネスの方向性
これまでのリクルーティングビジネスは、
過去企業に対する採用支援ビジネス、すなわち「B to B to C」でした。
これからのリクルーティングビジネスは、
未来求職者に対する就職支援ビジネス、すなわち「B to C to B」となります。
優秀な人材が集まるプラットフォームの構築が不可欠であり、そのためには、求職者の多種多様なニーズに応えていくことが重要となります。
求職者価値にいかに応えてくのかが問われる時代なのです。