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「大卒無業女性の憂鬱」働かない・働けない理由とは

2020 5/21
Contents

女性が無業であることは何が問題なのか?

甲南大学教授の前田正子氏は言います。

本書の目的は、働く女性ではなく、「無業の女性」、とくにそのなかでも「大卒無業の女性」に焦点を当て、これまでかえりみられてこなかった彼女たちの状況を明らかにすることである。

個人的事情に留まらず、居住地域の考え方や雇用環境がどのように無業の女性たちに影響を及ぼしているのかにも紙面が割かれています。

著者はご自身の経験から、特に関西地区における状況にスポットを当てます。

本書で、こうした関西の大卒無業女性のそれぞれの状況を取り上げることで、全国の多くの女性たちが自分の人生を自分で築いていくために何が必要かを見つける一助になればと考えている。

こんな人にオススメ

  • 現在大学に通っている女性
  • 女性の就労問題に関心のある方
  • 現在就活中の女性




本書の構成について

本書は全部で7つのパートから構成されています。

  1. 一億総活躍のかげでー無業の女性たち
  2. 一億総活躍時代の女性の状況
  3. 未婚無業の女性
  4. 大卒未婚無業の女性たちのそれぞれ
  5. 女子大生の夢と現実
  6. 既婚子持ち女性の再就職への壁
  7. 大卒無業女性と社会の未来




専業主婦は日本の福祉の含み資産っだった?!

一億総活躍推進が叫ばれるなか、政府は、2014年時点で70.8%である25~44歳の女性の就業率を2020年には76%へ、20年代半ばには80%程度にすることを目標として掲げています。

働ける人には一人でも多く働いてもらわないと、自国がもたないことの端的な現われがここに露呈しています。

子供をたくさん産んで育て、介護をしながら、経済活動も担ってほしいとの希望を強調します。

40年前は違っていました。

実はかつて、1980年代には日本の経済成長のカギは「日本型福祉」にあるとして、「専業主婦は日本の福祉の含み資産」とまでいわれていた。日本の税や社会保険料が安いのは、専業主婦が育児も介護もすべて無償で担ってくれるから、というわけだった。それから40年近くたって、女性に期待されるものがより大きく、そしてより都合よく変わってきていることがわかるだろう。

社会状況の変遷といえばそれまでですが、虫のいい過度な期待であり、要求であるに違いあるまい。

関西の女子学生の問題点

なぜ、関西の女子学生が非正規・無業状態で卒業していくのかについて、著者は次の3点にフォーカスします。

  1. 「結婚すれば、すべて解決する。いずれは働く必要がなくなる」と親も本人も考えている。
  2. 関西では夫をはじめ、親世代や地域の意識も、女性が働き続けることをよく思っていない。
  3. 女子大生にとって、将来のモデルとなるようないきいきと働き続ける女性と出会うことが少ない。

このような要因から、関西の大卒女子は自分の将来に展望が描きにくく、仕事の面白さや働く喜びを味わう前に簡単に会社を辞めてしまうのだ。すると会社側は、すぐに辞めてしまう女性を育成しようという意欲を失い、ますます女性の育たない職場になっていく、という悪循環になっている。

いったん仕事を離れたり、新卒時の就活がうまくいかなかった場合など、正社員として働く機会は非常に限定されてしまいます。

大卒女性が好む仕事は首都圏に集中しているだけでなく、そもそも日本全体で女性の非正規化が進展するなか、関西はとくに非正規率が高いからだ。女性が正社員になれるチャンスが増えているのは、首都圏だけである。

であるならば、これは関西だけに当てはまるのではなく、すべての地方が避けて通れない課題であるはずです。

構造的に一点集中化が進まざるを得ない就労の現実は、非常に根深いものであると言えるでしょう。

大卒無業女性を減らすには

大学や企業、政府ができることについて著者は8つのポイントを指摘します。

  • 大学での学びの動機づけのためにも、卒業後のなりたい自分を考えさせ、それを目指して目的意識のある4年間を過ごせるようなきっかけづくり
  • キャリア教育
  • 男女差別という批判もあるが、やはり女子学生に特化したキャリア教育
  • 労働法規や社会保障などの就労に関する基礎知識を教える
  • いざというときのための支援機関や相談できる機関があるということの周知
  • 相談機関や支援機関を分かりやすく整理するか、包括的な窓口をつくる
  • 無業の女性に対する支援の場をもっと増やす
  • 会社で働き続けるなかで、どのようにキャリアを積んでいくのかという見通しを新入社員にもたせる

大卒無業女性が少なくない数に至っている事実を自己責任の一言で片づけることは簡単です。

しかしながら、彼女たちの問題は間違いなく、私たち自身の問題に違いありません。

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