会社にキャリアをゆだねることは今やリスクとなった
組織・人事コンサルティング会社であるコーン・フェリーで働く著者の柴田彰氏・岡部雅仁氏・加藤守和氏は言います。
本書では、現在の日本企業における構造的な組織・人事面の課題を明らかにし、時代の変遷を読み解きながら、今後のVUCAの時代を生き抜くビジネスパーソンに求められる要件とキャリア戦略を論じる構成にしています。
VUCAとは、Volatility(不安定さ) Uncertainty(不確実さ) Complexity(複雑さ) Ambiguity(曖昧さ)の頭文字からなる言葉。環境・状況が複雑さを増し、将来予測がまるで立たない状態を指します。
会社が安住の地であるという認識は、今の20代にはほとんどないはずです。
企業は永続的に存在などしません。
会社は、ひとつの機会であり、舞台であると多くの若者が思っていることでしょう。
加えて、
年齢に関係なく、実力があればあるほどそのような思いが強いかもしれません。
暗闇の舞台で、スポットライトを浴びるかいなかは、あなた次第なのです。
- 20代のビジネスパーソン
- 経営・事業改革を目指すマネージャー
- 変化に対して危機感を感じている方
内容とは全く関係ありませんが、書籍の作りに対して一言。しなやかさに欠けるので非常にめくりづらいです。残念。
本書の構成について
本書は全部で5章から構成されています。
- これからのビジネス界で生き残るのは誰か
- 誰にも真似できない「価値」の作り方
- これからの時代に成長する人の7つの条件
- VUCAの世界で生き抜く力を鍛える
- 先が見えない時代の「勝ち組」キャリア
成長できる人が持っている7つの条件
7つの条件
- 学びのアジリティ
- 修羅場経験の幅
- 客観的認識力
- パターン認識力
- リーダーの役割を担う内発的動機
- リーダーに適した性格特性
- 自滅リスクを回避する力
アジリティとは、機敏さ・素直さ・敏捷性というのが原義です。本書においては、個人における環境変化に対する適応の敏捷性という意味となります。
学びのアジリティが強い人の4つの特徴
- そもそもの好奇心が強く、安定的な環境よりも新規・曖昧・複雑な環境を好む
- 人間関係については同質性や調和よりも、多様性や個性を重視する
- 過去の成功の継続よりも、未来に対する挑戦意欲が強い
- 達成できそうな目標よりも、大きなビジョンに基づいたストレッチ目標に奮い立つ
あなたの近くにいませんか?
代表的な修羅場経験
多くの成果を出しているビジネスマネージャーやトップエグゼクティブは、次のような経験をキャリアの中で積んでいます。
- 新しいサービスまたは製品の企画
- 新しい組織、事業の立ち上げ
- 組織、事業の合弁や買収
- 組織、事業の閉鎖や売却
- 海外赴任
- 業績不振の組織、事業の業績改善
- 突発的な事業リスクへの対処
- 大規模な事業上の取引や労働契約の交渉
- 全社的な変革プロジェクト
- 長年全社的に解決できていない問題や課題の解決
リーダーに適した性格特性
- 大局性
- 粘り強さ
- 曖昧さの許容
- 積極性
- 前向きさ
不確かな時代においては、物事はすべて白黒できっぱりと線引きはできません。
グレーゾーンにおいて粘り強く思考を継続できる耐性がことのほか重要なのです。
自滅リスクとは
次の3つです。
あなたは大丈夫でしょうか?
3つのリスク
- 感情の起伏が表に出すぎてしまう
- 細かいことが気になりすぎてマイクロマネジメントに陥ってしまう
- 他者のことが信用できなくなり、全て独断で物事を決めてしまう
これからの企業選びの軸とは
企業の寿命があなたの職業人生よりも短くなった今日、転職はもはやデフォルトです。
転職候補からひとつに絞り込む軸は次の3つとなります。
3つの軸
- その会社の事業・経営ビジョンに共感・コミットできるのか
- その会社の属する業界の将来性は十分で、自分はその将来に貢献できるか
- その会社の組織風土は自分にマッチしているか
不確実な時代を確実に生き抜いていきましょう。