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「企業不祥事を防ぐ」多様性・誠実性・空気を読まない力

コンプライアンスは、「過剰規制」から「ものがたり」へ

企業不祥事を防ぐ

(4.5)

弁護士の國廣正氏は言います。

この本の目的は「企業不祥事を防ぐ」ことにある。これを実現するものは、お仕着せの規則や制度ではなく、一人一人の働く人の意識しかない。

本書は、すべて実例とそれに基づく考察によって構成されています。

「机の上で考えた理論」は書いていない。

不祥事を防ぐポイントを著者は次のようにあげています。

私として思いつくまま、いくつかのポイントをあげてみることにする。読者の皆さんも各自でやっていただきたい(「唯一の正しい答え」ではありません)。

ポイント
  • 多様性(ダイバーシティ)と「空気を読まない力」、これを生かす寛容さと柔軟性
  • ステークホルダー目線(社外の目線)でのレピュテーション・リスク対応
  • 形式性・網羅性にとらわれないメリハリのあるリスクベース・アプローチ
  • 「概ね正しい」ことを良しとする(百点主義ではない)70点対応
  • 羅針盤となるインテグリティとプリンシプル
  • 異質な考えをもつ人との双方向でダイナミックな対話
  • 仕事への誇り、プライド

この本が、読者に「オモシロかった」と言われて、「やらされ感のコンプライアンス」から「元気の出るコンプライアンス」への橋渡しになることを願っている。

パドー
本書はコンプライアンスについて、豊富な事例をもとに、とてもイメージしやすい内容となっています。
こんな人にオススメ
  • 企業経営者
  • 現場の社員
  • 社員の家族
  • 学生

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本書の構成について

本書は全部で6章から構成されています。

  1. 過剰規制から「ものがたりのあるコンプライアンスへ」
  2. 日本型企業不祥事の根本にあるもの
  3. これからのコンプライアンス
  4. コーポレートガバナンスの実際
  5. 危機管理実務の最前線
  6. 企業のグローバル展開とリスク管理

多様性とガバナンス

強固な文化的背景を有する問題組織の組織風土を一朝一夕に変えることは極めて厄介です。

しかしながら、

これを変えなければ、企業不祥事は繰り返されるばかりです。

不祥事を防ぐためのキーワードがあります。

それが、ダイバーシティです。

それは組織の中に女性、外国人、中途採用者といった「異分子」を取り込むということだ。

同質集団の構成員に異議申し立てを求めることは非常に期待薄です。

「空気を読まない人」が組織に入ることで内部に波風が立ち、皆が同じ方向に進む危険が緩和される。

と同時に、

多様な発想は、変化の時代にあって組織存続には必要不可欠な力となります。

レピュテーション・リスク対応

レピュテーションは、「企業の行為やそれに言及する情報をもとに与えられる、あらゆるステークホルダーによる評価の集積」ともいわれる。

つまり、

企業不祥事とは、レピュテーション・リスクが顕在化し、企業の価値が毀損した状態を指します。

ゆえに、

不祥事への対応とは、言うなればレピュテーション・リスク対応を意味します。

コンプライアンスの主戦場はレピュテーション・リスク対応ということになる。

インテグリティとは

ステークホルダーは、「言行一致か」「間違いを犯した場合、真摯に現実に向き合って改善に取り組んでいるか」というインテグリティの観点から企業を評価する。

インテグリティは、「誠実さ」「真摯さ」と訳されます。

インテグリティの概念には次のような特徴があります。

4つの特徴
  • 社員の誇りと一体となって、持続的成長の核となる企業経営者の行動原理
  • 「やらされる」受け身のものではなく、自発性と不可分
  • 細かい規則で縛るルールベースではない、プリンシプルベースの概念
  • 経営者に求められる求心力の源泉
  • ルールベースとは、詳細なルールで「できること、できないこと」を明確に定めて規制される側の予測可能性を確保するという考え方。
  • プリンシプルベースとは、原理原則(プリンシプル)を明確に示すが、細かいルールまでは定めず、どのように行動するかは現場の判断に任せるという考え方。

著者は、インテグリティのポイントは次の3つであると整理しています。

3つのポイント
  • 企業が急激に変化するビジネス環境に対応するための「羅針盤」となり、企業の持続的成長の基礎となるもの
  • 「何のために企業はあるのか」「企業としてどうありたいのか」という「働く意味」と密接に関係している
  • 「結果として」企業のコンプライアンス・リスク管理につながっている

大切なことは、インテグリティというものの本質を、現実の事例で実感し、それを実際の企業活動に生かしていくということだ。

行動(結果)を判断される場合に、一本筋が通っているかいなかは、個人であろうが企業であろうが、真っ先に問われるべきものです。

  • そこに、真摯さはあるのか。
  • そこに、誠実さは尽くされていたのか。
「言っていること」や「やっていること」が一貫していて、そこに「ぶれ」がないとあなたは、あなたの企業は、言い切れるでしょうか?企業不祥事の防止はそこから始まるはずです。

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