人事パーソンにとって営業経験はどうしても必要なのだろうか?必要であると言い切り人もいれば、そうでもないと言う人もいる
人事に対する営業サイドの殺し文句がたったひとつだけあります。
いわゆる、キラーワード、パワーワードです。
「営業やったことのないやつにはわかんないよ」
この経験至上主義に基づく発言を封じ込めるには、残念ながら営業を経験するしかありません。
実際、営業を経験することにより人事パーソンとしての幅と奥行きは確実に広がり深まります。
その経験が腰掛け程度の表面ヅラを撫でるだけであるのならば、わかったつもりに陥るのが関の山となります。
かえってよくないのかもしれません。
人事業務は専門性を問われる業務です。
この道一筋という方が多い傾向が見られます。
そうでない場合は、管理部門をローテンションするというパターンとなります。
人事から総務、総務から企画、企画から人事へなど。
これとは別に、人事から営業へという場合や営業から人事へというパターンもあります。
- 人事パーソンには営業経験が必要なのでしょうか?
-
あるに越したことはないですが、なくても本人が気にしないのであれば特に問題ありません。
営業と人事のあいだ
営業と人事の間のローテーションには、次の4パターンがあります。
- 営業から人事
- 人事から営業
- 人事から営業、営業から人事
- 営業から人事、人事から営業
人事パーソンに関して話を絞っているので、最終的に営業セクションに異動した場合については割愛します。
営業発、人事止まりのひと
- 営業から人事
- 人事から営業、営業から人事
最終的に人事となるので、これは同じ意図に基づいています。
人事パーソンとして育成したいので、営業を経験させるというパターンです。
この場合、気をつけなければならない点が3つあります。
- 営業経験の期間が数年程度である場合が多い
- 営業セクションにおいてお客さん扱いされる可能性が高い
- 異動後、数年間の経験を拡大解釈し、営業の全てをわかったつもりになってしまう
いずれもありがちです。
本人に自覚や非がないローテーションにおける構造的な問題です。
効果の高い解決策は今のところないように思えます。
様々な理由が考えられます。
- ローテーションの一環
- エースの投入
- 人員の補充
- 適性をいかすために
- その他
営業を経験した人事マンが、営業を経験しておいて良かった主な理由は以下のようなものでしょう。
- 営業セクションの口癖である、「営業をやったことのない人間には所詮わからないよ」を封じることができる
- 制度の改定や運用において、営業セクションの目線や立場での取組みが可能となり、スムーズな対応ができる
- 採用活動における会社説明の際に、説得性をもって事業内容や営業活動を伝えることができる
- 日々の業務において、多角的に物事を捉える習慣が身につく
私自身、スタートが営業セクションであり、十数年後に人事部に異動となりました。
他の人事部員のやり取りをみるにつけ、やはり苦労は絶えないなというのが、正直な感想です。
隣の芝生は青く見える、だから?
一般的に隣の芝生は青く見えるものです。
営業は営業の苦労を前面に出し、管理は管理の大変さを口にします。
お互いがお互いのことを自分たちよりは向こうは楽でしょうという見方をしがちです。
願望や自己肯定を含めて。
どのセクションにおいても、固有の難しさと固有のやりがいが、そこに存在するだけです。
ぶっちゃけ、ちょぼちょぼです。
営業出身者が管理部門を経験して、再び営業に戻るパターンもあります。管理部門を経験するとは、会社を俯瞰的に見る視点の獲得につながります。このことにより自社を多角的に捉えることが可能となります。大きなアドバンテージです。
人事の立場から言うと
人事は、公正公平な立場に立ち、対応を求められる部署です。
両セクションを経験し、公平な視点や公正な視座を獲得した上で、日々の業務を遂行できることは、仕事の幅や厚みが間違いなく出ます。
誤解があってはいけないので、付け加えますが、営業経験のない人事パーソンの名誉を本エントリーが些細かも毀損するものではありません。
実際、人事パーソンとしての豊かな経験が、営業セクションの経験がなくとも、営業的な視点を獲得したうえで、良好なパフォーマンスを出している方にたくさんお会いしてきたからです。
それでも、繰り返しになりますが、
「営業をやったことのない人間には所詮わからないよ」を言われてしまうと、何にも言えないんだよなあという嘆息はよく耳にしました。
経験至上主義という考え方はどのような世界、ジャンルにも一定の幅を効かせるものです。が、経験したことがないと説得性を確保できないのであれば、神様以外誰も何も言えなくなってしまいますよね。