モチベーションエンジニアである麻野耕司氏の著作は、チーム作りを体系的に学ぶ機会がほとんどないあなたにとって「あなたのチーム」をつくるための道標となるはずです
リンクアンドモチベーションの経営陣の一人である著者が書いた本書のテーマは、名は体を表すの言葉通り、ずばり「チーム」となります。
麻野さんは言います。
本書はチームを「精神論」や「経験則」ではなく、理論的かつ体系的な「法則」で科学的に解き明かしていきます。
その方法は活用可能なレベルでわかりやすく説明されることが目指されています。
そして、「チームの法則」はできるだけ数式や図に落とし込み、「国語」のように感覚的に理解するのではなく、「算数」のように再現性を持って活用できる内容にしています。
突き抜けたパフォーマンスを実現するために、
ひとは独力ではなく、チームを形成することを選択します。
チーム作りには、特別な能力や経験が必要であると思われがちです。
それが先入観や単なる誤解であることが、本書を読み進めるうちにあなたも理解することができるはずです。
最大の誤解は、チームには有能で情熱的なリーダーが不可欠であるという幻想(願望)でしょう。
本書を読み終わったあとには、
あなたの偏見は見事に取り除かれているはずです。
「偉大なチームには偉大なリーダーがいる」ではなく、「偉大なチームには、法則がある」
5つの法則とは
次のようなABCDEの5つとなります。
- Aimの法則(目標設定)
- Boardingの法則(人員選定)
- Communicationの法則(意思疎通)
- Decisionの法則(意思決定)
- Engagementの法則(共感創造)
最初に必要なのは目的地だ
誰とやるかがチームの成否を左右する
お互いに何を伝え、どのようにつながるのか
どちらにかじを切るのか
メンバーとチームの絆が必要
チームにとって大事なもの
チームをチームたらしめる必要条件は「共通の目的」です。
共通の目的がなければ、その集団はチームではなく、ただのグループでしかありません。
重要活動の目的は、活動の成否を左右するとても重要なものなのです。
あなたのチームは目的を共有しているでしょうか。
チームの法則についての学術的背景
本書は巻末資料として、チームの法則の基となっているセオリー(学術的背景)が紹介されています。
非常に丁寧な作りです。
基となっている知見にご興味がある方は、原典にあたってみてはいかがでしょうか。
チェスター・バーナード「組織の成立要件」
スティーブン・P・ロビンス「チームとグループの違い」
サミュエル・I・ハヤカワ「抽象のハシゴ」
バーンズ&ストーカー「コンティンジェンシー理論」
エリン・メイヤー「カルチャー・マップ」
エイミー・C・エドモンドソン「心理的安全」
レオン・フェスティンガー「集団凝集性」
ビクター・H・ヴルーム「期待理論」
アクションチェックリスト
ご自身のチームの状況を確認するために、本書にはアクションチェックリストが掲載されています。
大いに活用できるチェックリストです。
以下に、各法則の中のチェックリストのうち、第一番目に掲げられているポイントを抜き出しました。
これを利用すれば、簡単で有効なチェツクがあなたにもできるはずです。
目標設定
そのチームの活動の意義が明確になっているか?
人員選定
そのチームの活動の特徴を語れるか?
意思疎通
そのチームはルールを明確化できているか?
意思決定
そのチームは状況に応じて最適な意思決定方法を選択できているか?
共感創造
そのチームでは金銭報酬や地位報酬だけでなく感情報酬がメンバーに提供されているか?
突き抜けた場所に行くために
「偉大なチームには偉大なリーダーがいる」ではなく、「偉大なチームには、法則がある」
小説や映画の世界でよくお目にかかる「チームの奇跡」を実現するために、最も役立つ本を挙げろと問われれば、誰もが本書を掲げる時代はもうすぐそこなのでしょう。