世の中には2種類の会社しかありません。採用がうまくいっている会社とそうでない会社です。
経営学者の坂本光司氏監修、採用コンサルタントの酒井利昌氏が執筆した本書には、採用がうまくいっていない会社(特に中小企業)に向けて、いい人財を集めて、見抜き、つかまえ、離さない技術が書かれています。
著者は、営業コンサルティングの経験を通じて、次のような認識に至ります。
- 経営目標を達成させるには、採用が本当に大事
- 育成には限界がある
- 素材の目利きこそが経営力
- 採用を間違えたら、「爆弾」を背負うようなもの
- 採用ミスによる組織へのダメージは計り知れない
- 付加価値を生み出す「いい人財」を採用しないと意味がない
本書は、このような認識に基づき採用コンサルティングを本格化された酒井さんが編み出した採用に本気で取り組む際の思考法が惜しみなく解説されています。
採用は、競争であり、勝ち負けである
成果がいまいちなので、採用のやり方を改善したいと真剣に考えているのならば、一度ぜひ本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。
- 結果を出したい採用担当者
- 人材不足に悩む中小企業の経営者
本書の構成について
本書は全部で4章から構成されています。
- 採用をなめてはいけない
- いい採用ができない会社の5つの理由
- いい採用を実現させるために案外やっていないこと
- いい採用を実現させる具体的なステップ
いい採用ができない会社に共通する最悪の勘違いとはなにか
なんだと思いますか?
答えは「他責思考」です。
たとえば、あなたが、
ズバリ、あなたの会社の採用がうまくいっていない理由はなんですか?
と質問された場合、次のような答えが頭にすぐに浮かばなかったでしょうか。
- 少子化だから
- 売り手市場だから
- 中小企業だから
- 不人気業界だから
これらが頭をよぎったのならば、考え方を切り替える必要があります。
なぜなら、
- 同じ売り手市場においても
- 同規模の中小企業においても
- 同業界の企業においても
- 同条件の企業においても
採用がうまくいっている会社は「うまくいっている」からです。
最悪の勘違いから一刻も早く抜け出しましょう。
いい採用ができない会社の5つの理由とは
採用活動は、営業、マーケティング活動そのものです。
著者は、自らの営業経験から、採用活動とは営業活動そのものであると断じます。
営業活動を通じて「売れる営業パターン」と「売れない営業パターン」との違いを体感し、採用活動の場面でこの経験測を応用することで、「うまくいく採用」と「うまくいかない採用」の違いをつかまれました。
いい採用ができない5つの理由は以下の通りです。
- 「片手間でやっている」から、うまくいかない
- 「他責にする」から、うまくいかない
- 「相手を知らない」から、うまくいかない
- 「マーケットを知らない」から、うまくいかない
- 「行き当たりばったり」だから、うまくいかない
あなたは採用担当者として、すべて全力を尽くしていると言い切れるでしょうか?
もしかして、もっと力を入れた方がいいと心当たりのあるポイントはないでしょうか?
うまくいかないパターンに陥っていないかどうか今一度セルフチェックしてみてはどうでしょうか?
会社説明会では、説明はいらない
著者は断言します。
会社説明会でやってはいけないことがあります。なんだと思いますか?
説明をすることです。
なぜそうなのかについて説明する前に、ひとつお聞きします。
あなたの欲しい人材はどちらでしょうか?
- 何の下調べもせずに白紙の状態で来た学生
- 採用媒体や企業サイトであらかじめ情報収集・確認して臨んでいる学生
答えは聞くまでもありませんよね。
説明会で「説明することがダメ」なのは、そのような情報はもうすでに知っているからなのです。
そこで聞かされるのが、すでに事前に知っている情報だけだとしたら、「この会社説明会に来た意味あったのかな」と思うのではないでしょうか?
全く説明しないという考え方には異論を唱える人も少なくないはずです。要するにバランスであると思われます。基礎的なデータとしての情報は必要最低限に留め、インターネットでは収集することのできないプラスアルファ情報の割合をどれだけ増やせるかが就活生の満足度を左右するのでしょう。
それじゃあ、説明会では説明せずに、どんな情報を発信すればいいの?
発信すべきは、一緒に働くのは、目の前のこの人たちですよ、という情報です。
会社説明会の参加者が知りたい情報とは「社風」です。
すなわち、
一緒に働く人は「どんな」人たちなのか、その人たちが集まって作り出す雰囲気、つまり「社風」とはどういうものなのかを知りたがっているのです。
したがって、
一緒に働くことになる社員(特に年の近い若手)を全面的(前面的)に押し出し、できる限り交流させる時間を設けるべきなのです。
ネット世代の就活生が求めているのはこのような「リアル」です。
何を見ているかというと、社員の何気ない表情、社員同士の会話、日常が垣間見える情報です。
オフラインでしか伝えられないものを伝える場が会社説明会であるという認識を持つ必要があるのでしょう。
リアルを伝える手段として動画配信はますます存在感を強めてきていると言えるでしょう。会場へ足を運ぶことの手間を省き、時間の節約にも大きく寄与するために、今後ますますニーズが高まるものと思われます。したがって、説明会においては、動画を超える体験、例えば参加者相互の活発なコミュニケーション機会を設けるなど、その場にいるからこそ生まれる「交差」に溢れた内容構成が求められるはずです。
現在行っている採用方法の棚卸しや固定概念に風穴をあけるヒントがたくさん載っている本書をぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。