副業を肯定する、あるいは否定しますか
副業の容認について考える必要があったので、あらためて整理してみました。
結論は、限定的に容認せざるを得ない。
副業を条件なしに容認という企業は現時点では極めて少ないです。
容認の必然性・必要性
企業が容認するには容認するだけの必要性がもちろんあります。
容認しないと企業活動に大きく支障が出るおそれのある業界の場合、そうせざるを得ません。
その代表例が、IT関連企業でしょうか。
同業界は、様々な働き方を受け入れなければ人材の確保が難しい競争原理が高度に働く業界です。
様々な働き方を認めなければ、次の2つが加速してしまいます。
- 優秀な人材が流出していく
- 有望な人材が採用できない
在宅勤務やフレック制導入と同様に、副業についても認めなければ労働力の確保に直結してしまう必然性がある業界、企業であるならば、容認はやむを得ない流れです。
労働者の考え方の変化
副業をする側の意識もここにきて変化をみせてきています。
従来は、次の2つが主な理由であったはずです。
- 家計を助けるために
- こづかいを増やすために
以上のような考え方に基づき副業をしたい、行なっている人は少なくありません。
現在、次のような理由から副業を行なっている、行ないたい人々の数も増え始めています。
- 自己実現のため
- リストラになった場合のバッファーとして
- 本業へのフィードバックのため
自己実現のため
やりたかったことや、やってみたいことが本業を通じて実現することができないので、自分の時間の範囲内で実行に移してみる。
このような意味合いで、副業に熱中するパターンです。
あくまで、自分の時間の範囲内に留まるのであれば、企業がとやかく口を出すところではないでしょう。
リストラになった場合のバッファーとして
年功序列や終身雇用が絶対的ではなくなった今日、労働者として収入機会を分散的に確保する行為は合理的な行動です。
問題は本業の守秘義務に抵触したり、競業とならないような商行為に留まるのかどうかがポイントとなります。
本業へのフィードバックのため
結果として、本業にフィードバックされることも含め、副業活動が、本人の人脈の拡大やスキルアップ、経験値が増すなど、本業に好影響をもたらすのであれば、大義名分も立ちます。
企業側も頭ごなしに禁止はできないのではないでしょうか。
副業を禁じる企業の側の論理
禁じる理由は主に次の5つであると考えます。
- 本業に専念するのが当然であるという企業思想が根強い
- 本業に悪影響が及ぶ懸念がある
- 会社の名誉が損なわれる可能性を排除したい
- 業務上の秘密事項が漏洩することを防ぎたい
- 職場環境・秩序が乱されることを回避したい
本業に専念するのが当然であるという企業思想が根強い
これは、時代の流れのなかで変っていくものと考えますが、労働者の間でも温度差があるので、副業は当然という流れにはいま少し時間を要するはずです。
本業に悪影響が及ぶ懸念がある
ここは、個別具体的に事情が違ってくるので、どこまでいっても解消しないところです。
悪影響が出た場合、それが基準となり、副業解禁の流れが突然にストップするはずです。
本業と副業のバランスをいかに個人が取るのかにかかっているので、ふたを開けてみないとわからないが、現実でしょうか。
会社の名誉が損なわれる可能性を排除したい
企業リスクマネジメントの観点からは、当然であるでしょう。
副業において行政上、民事上、刑事上の処分対象に、もしくは処分された場合に、本業の企業の名誉が連鎖的に毀損されるリスクがあるため、一律禁止にするという考えも全く否定はできないところです。
業務上の秘密事項が漏洩することを防ぎたい
本業に関連する分野において副業が行われる場合、この手のリスクの発生を完璧に防ぐことは、はなはだ困難であります。
一律禁止、もしくは厳格な条件付の運用となる可能性が高いです。
本業と全く違う分野での副業に限定すれば、問題が発生する余地もないはずです。
職場環境・秩序が乱されることを回避したい
副業者に対する偏見や嫉妬が生じるおそれがあります。
特に、本業も副業もスマートにこなし、結果を出している人物に対しては、その上司が偏った評価を下す懸念があるので注意が必要です。
人の気持ちはわからないし、移ろいやすいものなので、そのような職場環境の悪化の憂いを断つために、多くの企業では当面禁止を取らざるを得ないでしょう。
ネクストステージへ
上記の5つの理由が複合的に絡み合いながら、副業解禁とはスムーズにはいかないことが予想されます。
その一方で、優秀な労働力の確保がこれからますます企業経営において重要度を増す経営環境下に、多くの企業はさらされていくことでしょう。
現政権が推進する働き方改革によって、あなたのの労働環境は確実に違うステージとなったのです。