小さいチームのための小さいリーダーシップ
システム開発のマネジメントに従事している和智右桂氏は本書について次のように解説します。
本書はリーダーにとっての手引きとなれるよう、特に「小さいリーダー」が学ぶべき事柄について、できるかぎり包括的に記述することを意図しました。
次の2つの技術にフォーカスしています。
2つの技術
- チームとしての機能を高めるための技術
- チームの活動を運営する技術
あくまでも「チームにとってどういう意味を持つのか」という観点で記述することを意識しています。
- チームリーダー
- リーダーになりたい方
- チームを成長させたいメンバー
本書の構成について
本書は全部で7章から構成されています。
- スモールリーダーの心構え
- チームに火を入れる
- チームで「正しく考える」
- 技術 対立は意見を掘り下げるチャンス
- チームの活動を「見える化」する
- 問題を解決しながら前に進む
- 仕事が回るサイクルを作り出そう
スモールリーダー
本書は、偉大なるリーダーについては言及していません。
小さいリーダーについて語っています。
スモールリーダーとは、小さいチームを率いているリーダーのことです。
すなわち、
あなたのことであり、我々のことです。
チームが小さいからといっいて、求められるリーダーシップのレベルが必ずしも低くなるわけではありません。「ヒト・モノ・カネ」に関する権限を預かり、チームを率いて仕事を進め、日々発生する問題に対処しながら、持続的に成果を出し続けることは、簡単ではないのです。
協調型リーダー
スモールリーダーが目指すべきは、支配型ではなく協調型でなくてはならないのです。
もしかすると、
協調型というフレーズを聞くと、あなたは奉仕型リーダーシップを思い浮かべるかもしれません。
たとえば、
チームのメンバーが自立的・主体的に活動しているのならば、奉仕型リーダーシップは効果的に機能するでしょう。
しかしながら、
そうではなく、消極的で、バラバラになっているチームにおいては、ただ単に「奉仕」しているだけでは成果は望めません。
あなたが求められているのは、
チームが食べていくのに必要な量の魚を釣りながら、同時に魚の釣り方を教えることです
メンバーの能力を最大限に引き出し、かつ学べるようにすることを考えながら、同時に目の前のミッションを達成しなければなりません。
そのためには「奉仕」するだけでは足りないのです。
「奉仕すること」と「導くこと」のバランスを上手くとっていく必要があります。
それが「協調型」のリーダーシップなのです。
敬意と規律のチームマネジメント
「奉仕する」と「導く」という対立・背反する行為を両立させるためには、メンバーをどのような人間であるのかと捉えるのかが重要となります。
著者は次の2つの見方を忘れないようにと言います。
2つの見方
- メンバーはあなたと同じように高い知性を持っていると考えよ
- メンバーはあなたと同じように横着だと思え
ここで言う「知性」とは、
たとえ知らないことであっても、ミッションの達成に必要なことを学習して身につけていく能力を指します。
ここで言う「横着」とは、
単純に仕事を怠けるということではなく、継続的にものごとをコツコツ積み上げることを独力ではやりきれないという状態を指します。
リーダーが持つべき価値観
このように、メンバーを「横着な賢者」であるとみなすのであれば、チーム一丸となって成果を出そうとした場合に、リーダーであるあなたには「ある価値観」を持つ必要が出てきます。
2つあります。
- メンバーに敬意を払うこと
- 規律の意識を持つこと
敬意を払うとは、
メンバーも自分と同じ情報を与えられれば、正しい解を導き出せると信じることを指します。
規律の意識持つとは、
決まり事を守ること、また守られていない場合にそれを指摘し合うことの大切を十分に理解して行動に移せることを指します。
メンバーに対して敬意を払い、規律を徹底させること、それが協調型リーダーにとっての基本的な心構えになります。
リーダーが最終的に目指すところ
たとえ、リーダーのあなたがいなくても、自律的に主体的に回っていくチームを作ることが、あなたが目指すべきゴールなのでしょう。
誰かの指示に従って動くのではなく、共有された言葉を中心に回ることこそが、協調型リーダーが目指すべきチームの姿なのです。
できることから始めて、あなたもチーム共々、成長してみませんか?