やはり人事部はどこの部署にも似ていない
人事部は特異な部署であるという感覚は、どのような会社においても多くの従業員が持っていると思われます。
人にダイレクトに関わるために、その面倒くささやドロドロした感じのイメージが先行するからでしょう。
人事部門が関係する業務は、実際非常に広範にわたり、大企業であれば、各々専門部署が立ち上がるくらいの業務内容と業務量となります。
あらためて、人事部の特異性を考えた場合に、一体、どこがどう違うのでしょうか?
3つあると考えます。
- 全体最適思考
- 時間軸の異常な長さ
- 施策効果が測れない
全体最適思考
営業部門と管理部門の仕事の性格を決定的に分けるのは、全社的な仕事なのか、そうでないかの違いとなります。
管理部門の業務は全社に関わるのであるのだから、当然といえば当然です。
管理本部の中の一部である人事部も例外ではありません。
しかしながら、管理本部の他のセクションと異なるのは、全体最適思考を強く求められるところなのです。
人の配置の場面で、如実に現れます。
各営業本部は、自部門の利益を最優先に尊重した意見しか言いません。
したがって、あちらを立てればこちらが立たずは、人事異動の季節には日常茶飯事となります。
その場合、必要となるのは、全体最適な思考です。
部分最適を駆逐するには、大所高所に立った理屈をぶつけるしかありません。
利害調整を成し遂げるためには、時には政治的腕力も必要となります。
時間軸の異常な長さ
人を育てるには時間がかかります。
それは、学校であっても職場であっても同様です。
一方、オーナー社長でもない限り、10年も20年もトップに君臨する代表は稀でしょう。
現在の急激なビジネスの環境変化の中にあって、固定的なプランは硬直性が過ぎて、弊害をもたらしかねませんが、人材育成の観点に立つ場合、中期的なキャリアプランや幹部育成は、健全な事業継承を実現する上では不可欠です。
したがって、人事部はそのような視点から、将来を見据えた育成プラン(人事異動)を計画します。
企業規模にもよりますが、最低10年単位で、事業部の長の候補選定・育成を粛々と進めます。
その前提にあるのは、高度な人間理解と事業理解に他なりません。
自身が人事部でいつまで働くかは、棚に上げながら、長期的な視野で人を見定めなければならないのです。
施策効果が測れない
外資系でもない限り、実績の判断は半期、もしくは年度で問われるはずです。
実績は定量的に、冷酷にあなたの目の前に差し出されるでしょう。
自分の努力の結果が、比例するとは言わないまでも、相関的に数字として現れます。
しかしながら、人事部の仕事の中には、客観的に示せないものが少なくありません。
例えば、人材育成や採用が端的な例となるでしょう。
何をもって、いつをもって、よしとするのかの基準は、正直誰にもこれだ!とは言えないことがあまりにも多過ぎます。
定性的といえば定性的にすぎるために、その成果・効果はどこまでも曖昧な印象を拭えないのです。
特異な部署、特異な仕事
他の部署と違っているからと言って、反り返ったり、逆に俯いたりする必要は全くありません。
仕事の種類が違うだけです。
違うために、ある意味、孤立感を感じる場面が多いでしょう。
管理本部内においても、同様です。
従業員でありながら、経営的視点を要求され、ある意味、法人の視点のようなものを求められるような仕事であるといえます。
人事にたずさわるあなたは、次のいずれでしょうか?
- だから一刻も早く違う部署に行きたい。
- だからやりがいがあるんだと胸を張っています。