会社や組織の成長・発展を停滞させる空気はいったいどこから生まれているのだろうか?
特定非営利活動法人「失敗学会」を2002年に立ち上げ、副会長を務めたことがある著者の飯野謙次氏は、失敗学を次のように定義づけています。
失敗学とは、失敗に学んで終わるのでは決してなく、新たな創造をなすための学問領域です。
本書では、多くの事故調査を行ってきた経験に基づき、思考停止に陥り、失敗をしてしまった組織について、次に生かすための考察が展開されています。
- 組織をきちんと束ねたい方
- 人事関係者
- コンプライアンスを徹底したい経営者
本書の構成について
本書は、全部で4章から構成されています。
- 危険な職場を生むコミュニケーション
- 自分で考えて動く人が育つしかけ
- こわいのは、上司のひと言
- 思考が動く職場とは、どんな場所か
なぜ思考停止するのか
思考停止には2種類あります。
- 組織の思考停止
- 人の思考停止
組織は人で構成されていますから、組織の思考停止には人の思考停止が大いに関わっています。
・組織の思考停止 (大きなくくりの社会正義を忘れて、自分たちの目先の利益に走るため)
・人の思考停止( 組織という大きなくくりを忘れて、自分の利益や自己満足に走るため)
組織組織内における危険の可能性を知りながら、その対策を考えずに、危険そのものを否定したり、放置することで、社会問題化してしまう会社は後を絶ちません。
一方、
個人危険に対する創造的な対策を立てられずに、精神論に頼り切り、大きな事故を起こしてしまう社員も少なくありません。
組織であろうが、人であろうが、思考がストップしてしまうことの「恐ろしさ」を日頃から十分に自覚しなければなりません。
失敗は創造性のリハビリテーションである
失敗とはマイナスの出来事であり、ネガティブにとらえられがちのものです。
それだけで終わってしまえば、先に進めませんし、もしかすると同じ過ちをまた繰り返すかもしれません。
プラスを生み出すチャンスの側面に光をあてることから失敗学は始まるのでしょう。
失敗というネガティブな概念をひっくり返し、それが発現したら、それを繰り返さないための方策を、精神論ではなく、具体的に考え、創造するやり方です。
失敗に直面したあなたがそのまま思考停止に陥ってしまっていては、同じ失敗が繰り返されてしまうばかりなのです。
創造的方法で失敗を繰り返さないように考えるのは、失敗がくれた発展のためのチャンスだと考えます。
創造性のリハビリテーションから決して逃げないでください。
あなた自身のために。社会全体のために。