新たな人事の姿を創っていきたいと願う全ての人へ
株式会社ヒトラボジェイピーの経営陣である永田稔氏と村上朋也氏の手による本書は、テクノロジーを使った人材の「評価」と「個別管理」をどのようにして行っていくのかがメインテーマとなります。
著者の村上さんは本書で伝えたかったことは次の4つであると言います。
- 教育・成長の不均衡をなくして、人のポテンシャルを解放したい
- 機械と人間の最適分業の姿を提示したい
- ニッポンの人事の世界を進化させたい
- (そして、正直に言えば)面白いモノを作ったから使ってみてほしい
人事の重要性がますますクローズアップしてきている現在、
人事管理施策を丁寧に効果的に実現できるかいなかは正に経営マターそのものであると言えます。
人事管理の重要テーマとしては「人材の引きつけと引き留め」は避けて通れません。
その対策は一言でいえば、
「選ばれる会社になる」ということに尽きます。
選ばれる会社の究極のポイントについて永田さんは次のように指摘します。
個々人が正当に評価され、自身の可能性を広げられる場であるかどうかということです。
テクノロジーを使った人材の「評価」と「個別管理」をどのようにして行っていくのかがメインテーマとなる本書は、あなた(人事パーソン)にきっと役立つはずです。
- これからの人事を考えたい人
- 良質人材を確保したい経営者
本書の構成について
本書は、全部で11章から構成されています。
- デジタル時代において人事業務は大きく変わる
- 機械が人間を評価できるか
- デジタル化による人事業務革新「採用編」
- デジタル化による人事業務革新「昇進・昇格審査編」
- デジタル化による人事業務革新「人材育成編」
- デジタル化による人事業務革新「適材適所編」
- デジタル化による人事業務革新「パフォーマンスマネジメント編」
- デジタル化による人事業務革新「グローバル人事編」
- デジタル化による人事業務革新「リーダーシップ開発編」
- デジタル化による人事業務革新「働き方改革編」
- デジタル化による人事の変革
デジタル化の流れの中での注意点とは
本書を一読していただければお分かりのように、
AI活用による人事のデジタル化は、採用・育成・昇格・配置・パフォーマンスマネジメントに代表される主要人事業務が大きく変わることの可能性を示唆しています。
これによって、業務全般の効率化や効果についても少なからず見込まれることでしょう。
その一方で、きちんと押さえておかなければならない点があります。
デジタル化やAIには明らかな限界があるということです。
その限界とは、過去パターンへの依存に他なりません。
過去データから学び、パターン化したうえで、現在の課題を判断するわけですから、
まったく新しいタイプ(成果)を生み出すハイパフォーマー行動が出てきた場合には、的確な対応や判断を求めることには限度があります。
したがって、
新しい行動や成果に対するセンサーを働かせて、柔軟な理解と的確な評価基準の追加・見直しが求められるでしょう。
このような一連の行為は、機械ではなく人が行わざるを得ません。
機会に任せるべきところは任せ、人がやらなければならないパートは全面的(前面的)に人が前に出る必要があるのです。
過去の検証作業は機械に任せ、未来志向の業務は人事担当者であるあなた自身が行う「棲み分け」が強く求められている時代は既に始まっています。