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戦略的とは、機会損失を考えることだ!
慶應義塾大学大学院教授の清水勝彦氏は言います。
結局、機会損失を考えるとは、意思決定の基準、価値観を考えるということにほかなりません。
機会損失とは、一言で言えば、「得べかりし利益」のことです。
その本質は「見えない」ことにあるのです。
見えないコストである機会損失について、本書は次の4つの視点から解説されています。
- 決定そのものに関する機会損失
- プロセスにかかわる機会損失
- 後悔のコスト
- 機会損失を最小化する
つまり、「やらなかったこと」や「できなくなったこと」がより重要であったりするのです。これが機会損失です。
こんな人にオススメ
- 経営層
- マネージャー
- 現場責任者
本書の構成について
本書は全部で12章から構成されています。
- 戦略と機会損失
- 計画と機会損失
- データ分析と機会損失
- コンセンサスと機会損失
- 機会損失を避けたいという機会損失
- 将来の選択肢を増やす機会損失
- 心配と後悔と機会損失
- 「適材適所」と機会損失
- 優先順位と機会損失
- 機会損失にどう取り組むか(目的=原点を明確にする)
- 機会損失にどう取り組むか(バイアスと戦う)
- 機会損失にどう取り組むか(実行する)
計画と機会損失
計画策定の弊害を免れるよう、特に次の4点には気をつけましょう。
- 計画づくりに時間や資源をとられ、実行ができなくなる(遅れる)。結果として、本当に重要な情報が得られない。
- 計画に安心し(過信し)、目的を忘れ、現実を直視できず、思考停止に陥る。
- 本来は手段であるはずの計画が聖域化、目的化され、本来の目的達成にそぐわない資源配分がなされる。結果として、単に「無理をする」だけではなく、現場の達成感や仕事への誇りも失われる。
- 計画とは異なった「想定外のマイナス」に気を取られ、「想定外のチャンス」を見逃してしまう。
計画し過ぎないことが肝要なのです。
チャンスは計画では捕まえられない。
選択肢を増やす
選択肢を増やすことは、ある意味もろ刃の剣です。
より良いオプションを選びうる可能性が広がる一方で、取捨選択のための機会損失の可能性も増えます。
選択のためには、次の3つのポイントを常に整理しておきましょう。
- 目的
- 資源の制約
- 目的の最低達成ラインの明確化
何のための選択肢か、そして選択肢を広げる基準と選ぶ基準がわかっていなければ、ただの迷走に終わります。
機会損失の本質とは
機会損失の本質は、本当はそこにあるのに、見えていない、見ようとしないところにあるのかもしれません。
見えないものを見るためには、
パドー
観察力と想像力が必要不可欠なのでしょう。
現実を穴が開くほど見つめて、頭から煙が出るくらい未来を想像するのです。
そして、常に観察と想像を忘れないこと。
あなたは、機会損失の概念を持つことで、より戦略的な意思決定と行動ができるはずなのです。
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