在宅勤務、労働時間はどうやって管理するの?
本書は、弁護士である足立昌聰氏を中心に複数の弁護士、社労士による共著となります。
テレワークやコロナ禍にともなって生じうる労務・法務・情報セキュリティに関する問題点を簡単に解説するものです。
必要に迫られてテレワークを導入した企業、導入を模索している企業、導入できない企業など、会社の数だけ、現実的な対応は様々にあります。
導入の成否は、本質的には経営マターですが、NASAの職員が火星探索機を自宅からテレワークによって操作する現在、頭ごなしに「当社は無理です」は通用しない現状であると思われます。
Q&A形式により、テレワークの導入と定着に関する事項がコンパクトにまとめられているので、担当者にとっては便利なハンドブックとなることでしょう
- 人事担当者
- テレワークをしている部下を持つ上司
- テレワーカー
本書の構成について
本書は全部で3章から構成されています。
- 労務のQ&A
- 法務のQ&A
- 情報セキュリティのQ&A
労務のQ&A
- 導入手順のギモン
- 労務管理のギモン
- 賃金のギモン
- 労災・安全衛生のギモン
- 人事評価のギモン
- 支援制度のギモン
法務のQ&A
- 押印のギモン
- 個人情報保護のギモン
- 会社運営のギモン
- 契約関係のギモン
- 知的財産のギモン
- 緊急事態のギモン
情報セキュリティのQ&A
- 計画策定のギモン
- セキュリティ教育のギモン
- 業務のギモン
- 技術面のギモン
規定化について
テレワークの実施に伴い、可能であれば就業規則とは別にテレワーク規程を策定しておくことが、実務上の無用のトラブルを避ける上でも望ましいでしょう。
規定化に際しては、次の各項目を盛り込む必要があります。
- 導入の目的
- 対象者
- 服務規律
- 労働時間・休憩・休日
- 時間外・休日労働のルール
- 勤怠のルール
- 賃金
- 費用負担
- 安全衛生
各項目における記載すべきポイントは次の通りとなります。
導入の目的
導入目的は、育児・介護等特別な事情にのみ限定するのか、事情を限定せず認めるのか
対象者
対象者は、育児・介護等特別な事情にのみ限定するのか、事情を限定せず認めるのか
服務規律
テレワーク時特有の機密保持や職務専念義務を明確化する
労働時間・休憩・休日
労働時間・休憩・休日はこれまでと同じ労働時間制度を使うのか、もしくは裁量労働制やフレックスタイム制度、事業場外みなし労働時間制度などを使うのか
時間外・休日労働のルール
時間外・休日・深夜労働の申請ルールを明確化する
勤怠のルール
遅刻・早退等のルールや業務開始・終了・休憩の開始・終了の報告方法を明確化する
賃金
通勤手当の取り扱いや会社独自で支給している各種手当(食事手当等)があればその取扱いを明確化する
費用負担
テレワークでかかる通信費、水道光熱費等の費用負担関係を明確化する
安全衛生
テレワーク勤務者にも安全衛生に関する法令が適用される旨や必要に応じ相談窓口等を明確化する
導入の困難・適正運用の困難
現在も試行錯誤しながら、テレワークを実施している企業は少なくありません。
メリットデメリットを組織として、個人として天秤に欠けながら、価値観のすり合わせをする必要があるでしょう。
従来の慣れ親しんだ業務慣行とは異なる部分や場面もたくさんあります。
流動的な局面には、柔軟な対応がなによりもなの大切です。
そのためのヒントが本書にはいくつも掲載されています。