日本企業の人事には海外企業にない強みがある
人事・人材戦略コンサルティングのスペシャリストである南和気氏は言います。
本書では、「変化」に直面した日本企業が、この「変化」をチャンスと捉えて、世界で勝てる組織に変わっていけるよう、グローバル人事を最短で実現させる具体的な方法と、その際に人事が知っておくべき考え方を余すことなくお伝えしていきます。
グローバル人事は、海外に進出している一部の企業が取り組むべき制度・課題ではありません。
なぜなら、グローバル人事の考え方は、人手不足が深刻化する国内産業・ビジネスを展開する企業にとって不可欠となっていくからです。
今後は国内企業においても、人材が多様化するなかで、戦略的に人を育て組織を生かすグローバル人事の考え方を取り入れていかなければ、迫りくる「変化」の大波を乗り越えることはできないのではないか、という危機感を抱いています。
本書で著者が伝えたいことは次の3つに集約されます。
- グローバル人事とは、人事のための取り組みではないこと
- グローバル人事といっても、これまでの日本企業の人事と原則は変わらないこと
- 日本企業には海外企業にない強みがあること
グローバル人事という視点を持つことで、あなたの足元の問題は、より本質的な解決を約束されることでしょう。
- 経営層
- 人事担当者
- 経営戦略セクションのスタッフ
本書の構成について
本書は全部で6章から構成されています。
- グローバル人事とはなにか?
- 「人の価値」を正しく測る
- 「人材配置」を成功に導く戦略
- グローバル・リーダーをどのように育てるか
- 自ら成長し変化する最強の組織づくり
- テクノロジーがもたらす未来の人事
ケーススタディとして、パナソニック、ジョンソン・エンド・ジョンソン、オムロンなどの取り組みが紹介されています。
グローバル人事の三段階モデル
日本企業が以前から行っている人事のモデル
多くの日本企業が現在目指している人事
一部の海外企業が現在実現しているモデル
セントラル人事
- 本社人材を海外現地法人の主要ポストに派遣
- 海外支社を統括できる優秀な本社リーダーの育成が相当数必要
マルチナショナル人事
- 現地人材による現地法人トップを育成する
- ガバナンスモデルの構築と現地リーダーのキャリアパスの設計が必要
インターナショナル人事
- 国や所属にかかわらずポジションの要件に応じて最適な人材を配置する
- 組織力を向上させる取り組みが必要
日本の人事を変えるべき3つのポイント
私は、日本企業がグローバル人事に挑戦する際、どうしても変えざるをえない人事の考え方として、次の三つがあると思っています。
- 結果人事から計画人事へ
- 主観人事から客観人事へ
- 密室人事から透明人事へ
結果人事から計画人事へ
「平等性を重視」から「リスク管理を重視」へ
主観人事から客観人事へ
「人を評価する」から「仕事を評価する」へ
密室人事から透明人事へ
「上司や人事への信頼に頼る」から「評価の仕組みへの信頼に頼る」へ
グローバル時代の人事パーソンに必要な3つの力
今後、人事パーソンに求められる仕事は次の2つが中心となっていきます。
- 育成を担う管理職やリーダーを支援する仕事
- 組織全体を広く見渡して、問題解決を行うような仕事
これらの仕事を行うために必要な能力とは次の3つとなります。
- 人の価値を客観的に見定める力
- 本音を引き出す力
- 組織の課題を見抜く力
人の価値を客観的に見定める力
スキル・経験・モチベーションで人材価値を見極められる
本音を引き出す力
社員に信頼され、悩みの本質を見つける
組織の課題を見抜く力
ボトルネックを見つけ出し、手当てをする
人事は、客観的な視点で、中長期的な視野をもちながら、人の価値と可能性を見極める
今すぐ変えるべきは、人と組織に対する意識です。
組織が変われば人は変わります。人が変われば組織は変わります。
あなたが変われば、会社は変わるのです。