ビジネスの問題解決があっという間にできる新しいアイデアメソッドが詰まった1冊
数多くの人気雑誌のアートディレクションやデザインを手掛けている野口孝仁氏は次のような疑問を持ちます。
「もしかしたら、雑誌の「編集」を通じたアイデア創出こそが、いまの閉塞した日本のビジネスを活性化するのに役立つのではないか」。ならば、その「編集的な思考」は、これまでのロジカルシンキングやデザインシンキングとなにが違うのか。
このようなクエスチョンから出発して、
日本人に最も適したイノベーション創出のためのメソッドをまとめたのが、本書です。
閉塞したビジネスの現状でお困りならば、突破のためのツールとして本書は大いに役立つはずです。
- アイデアが煮詰まっている方
- クリエイティブ戦略をもっと展開したい方
- イノベーションの創出を求められている経営層
本書の構成について
本書は全部で5つのパートから構成されています。
- ビジネスを編集する
- 編集思考に大切な、5つのステップと5つの文型
- アイデア体質を作る10の習慣
- ストラテジー
- 対談
対談は次の2つが掲載されています。
- 編集の「情報力」を他事業に生かす
- 売り場づくりの神髄は「編集力」にあり
編集思考とは
編集とは、
ありとあらゆる点(コンテンツ)を集めて編むことです。
そして、
編集思考とは、
新規サービス事業、ブランド開発を行うビジネスパーソンに向けて、「雑誌編集」で用いられる「視点」と「手法」を使って、「新しい価値」を導き出す方法です。
新規サービス事業、ブランド開発を行う上で重要なことが2つあります。
重要な2つのポイント
- 企業やブランドのコンセプト(理念)を表現する「タグライン」の設定
- ターゲティングとマーケティング
タグラインとは、インテルで言えば「インテル、入っている」がそれにあたります。そのブランドが消費者に提供する「新しい価値」となります。たとえば、雑誌編集ならば、「映画特集」ではなく「恋する映画」など、今までにない視点からテーマを作り、独自性をアピールすることで、「読みたい!」と思わせる「とっかかり」を作るものです。
編集思考の5つの手順(ステップ)
その手順は以下のようになります。
ざっくりとした特集テーマを設定します
メンバー全員で、テーマに関するあらゆるモノやコトを持寄り、テーブルの上にならべます
集まったネタを眺めながら、自分の体験談や人から聞いた情報、知っていることを話し合います
エピソードや共感ポイントから、隠れたニーズを見つけ、そこからインサイトを探し出します
インサイトから新しい価値を見出し、特集タイトルを決定します
アイデア体質をつくる10の習慣
私がこれからお話しするトレーニングはどれも、日々の生活で簡単に実行できるものです。
- アイデアを考える環境と状態を意識する
- 判断力を養う方法
- 理解力を深める
- 日常の小さな実験
- 行間を読む
- 集めて編む
- 360度視点
- 作為と無作為
- 情報の集め方
- 活発な会議
それぞれについて、具体的なポイントが紹介されています。
詳細については、本書にあたってください。
デザイン・アイデア・ビジネス
世の中の人々にもっとデザインを使い倒してほしい。
デザイナーなって30年、会社を設立されて20年のキャリアから導き出された著者の偽らざる心境がここにあります。
クリエイティブワークによってクライアントから感謝されることの喜びと達成感の重要性をあらためて感じることのできた著者は、本書を書き上げるにあたって次のような方向性に至りました。
クリエイターの作る本は、過去の作品をまとめ、デザイン本という形式にすることが一般的です。けれども、私はただのデザイン本ではなく、ビジネスの現場で役立つ本が作りたかった。
この思いが、類書とは一線を画する本書のユニークネスの源であると思われます。
言うまでもなく、デザインとはアイデア抜きには成立しないものです。
良いアイデアは、物事の本質を理解することからでき上っています。
と同時に、
良いアイデアは、社会をよりよくするための思想を持ち合わせている必要があると野口さんは主張します。
目先の利益だけにとらわれず、より良い未来を作るために、経営の最前線でデザインの力を使い倒してほしい。
デザイン(アイデア)は社会をより良くするための力を持っています。
しかしながら、
それだけでは限界があります。
デザイン(アイデア)を活用するための仕組み作りが不可欠なのです。
その仕組みを作ること、それこそがビジネスなのです。
あなたのビジネス観やデザイン観に大きな揺さぶりをかける本書をぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。