多くの企業がこぞって知りたがる、流行に左右されない本質がここに
多摩大学大学院で教鞭をとる著者の柏木吉基氏は本書について次のように説明します。
本書は新たな「データ分析本」や「やさしくわかりやすい統計の本」ではありません。もっと成果に直結する、もっと本質的で価値の高い「データ活用の仕方」について紹介します。
もう少し詳しく言うと、
「分析や統計の精度を1%でも向上させること」が目的ではなく、
- 実務で必要な成果を得るために必要なことを導き出す
- 関係者が理解・納得し、具体的なアクションや判断につながる結論を導き出す
この2つが目指されています。
本書は「活用術」の紹介本であるために、手っ取り早い「正解」の類いは一切載っていません。
なぜなら、
それは、あなたが自分で考えなければならないことだからです。
本書には、皆さんが自ら「正解」を作り出すために必要な考え方やポイント、アプローチが書かれています。
さあ、「結論」を手繰り寄せましょう!
- データ分析が苦手なビジネスパーソン
- 統計の本質を理解したい高校生・大学生
本書の構成について
本書は全部で8章から構成されています。
- これからの時代に求められるデータ「活用」リテラシー
- 本当に正しい問題を正しいデータで解いていますか?
- 「これが問題なんです」ってデータでどう言えば良いの?
- 結果だけが言えればそれで良いの?
- 世の中「方策君」ばかり
- 情報サマリー力で「すなわち・・・」を言えるようにする
- 「データで問題解決できる」という幻想
- 個人と組織のデータ活用を高めるために
データを活用するために必要なプロセス
以下の一連のプロセスが大事です。
分析前の問題・目的定義と仮説構築
分析そのもののスキルや知識
分析結果の解釈とストーリー構築
もう少し分解しますと、
データ活用を台無しにする最大の原因
次の2つになります。
2つの主因
- 解くべき問題が明確になっていない
- 定義した問題と使うデータが一致していない
ここのところをきちんと押さえていないと、
「データにとりあえず手をつける」⇒⇒⇒「そこから何が言えるか考える」
といった本末転倒が発生します。
そうではなく、
「知りたい目的・問題を明確にする」⇒⇒⇒「データに手を付ける」
というアプローチをとりましょう。
データの中に答えがあるわけではない
本質的に必要なことは、目の前のデータに頼ることなく、自ら目的や問題を定義し、必要なデータや分析する範囲をいかに広い視野でデザインできるか、であることを紹介してきました。
目の前のデータに縛られない適切なプロセスとは、各作業でデータに手をつける前に、広い視野で全体を想定することとなります。
この想定が一般的に「仮説」と呼ばれているものです。
仮説に必要なことは、
- どのような範囲・切り口の情報(データ)が必要か
- どのように処理・加工すると見たいものがみられるか
なのです。
データ活用リテラシーの高い個人と組織の特徴
特徴として次の4つの共通項があります。
- 先生や部門長、チームリーダーなどのリーダーシップ、コミットメントが確立している
- 目的が明確になっている
- 「考える」ことと「作業する」ことの違いと価値が理解されている
- 出てきたアウトプットを適切に評価できる人がいる
データに語らせるために
データ(数字)は雄弁であるとよく言われます。
しかしながら、自らどんどんしゃべってくれるわけではもちろんありません。
あなたがしゃべらせるのです。
大事なのは、あなた自身が考えるという行為を徹底することにあります。
価値あるアウトプットを導き出していきましょう。