コネを駆使して人材を獲得しなけれなば生き残れない時代に
新卒採用が佳境に入るも、なかなかに苦戦している現状です。
なんとかいい方法はないかと日夜、頭を痛めております。
そのような折、本書を手に取りました。
リクルート出身の人材コンサルタントである株式会社人材研究所の曽和利光氏が書かれています。
ネットワーク採用に関する内容もさることながら、久方ぶりに人事愛にあふれている書物に出会いました。
ネットワーク採用とはなにか
次のように著者は言います。
ネットワーク採用とは、自社の社員や内定者などを基軸に、その周辺の人間関係(インフォーマル・ネットワーク)に目を向け、自らスカウトに出向き、採用する手法です。
簡単に言えば、マスに傾きすぎた機能重視、効率重視の採用方法を軸にしながらも、それだけではなく、昔ながらのいい意味でのコネ入社を様々な社内外のネットワークを駆使して、根気よく行っていこうというものです。
ネットワーク採用の利点として、次の6点をあげられています。
- 採用コストが劇的に安い
- 候補者が自社に適している可能性が高い、つまり合格率が高い(類は友を呼ぶ)
- もともとコネクションのある人を採用するために内定受諾率が高い
- もともとあった信頼関係を社内にそのまま持ち込んでくれる(社内の絆が深まる)
- 採用の連鎖が起こり、どんどんラクに採用できるようになる
- 採用ブランドにかかわらず、知名度の低い企業でも実施できる
面接におけるヒントがいっぱい
本書はネットワーク採用がメインテーマであるのですが、採用面接一般についての視点についても多くのヒントを提供してくれます。
おそらく、面接者数が二万人を超える強者である著者ゆえに、伝えたいことが次から次から湧き出てくるのでしょうか。
面接において「なるほどな~」と思ったのが次の二点です[/kjk_balloon]。
- 大切なのは「過去」「事実」「習慣」
- 人を「見立てる」には、まず語彙を増やすこと
大切なのは「過去」「事実」「習慣」
ここはベテラン面接官でも、きちんとできていない場面が意外とある部分です。
相手の話を聞く上で重要なのは、「思っていること」ではなく「やってきたこと」を聞くこと、その上で「やれること」を推定することです。
ポイントはこの言葉に尽くされています。
「素人」は、必ずと言っていいほど、相手の思っていることを聞きたがります
ご丁寧にも、こういうことですねと自分の意見を提示し、同意を求める場面もあります。
その人を知るには、その人がどのように行動してきたか、「過去の事実」を確認することが出発点となります。
過去の事実でなければならないのです。
過去に基づいた意見の開陳や心情の吐露は一切無用でしょう。
次に、これからどのような行動をするのか、したいのか、できるのかを推察するために習慣を確認します。
現在の習慣の延長線上に、おおむね未来の行動が当たらずとも遠からずで、予想できるはずです。
面接を成功させるコツは、「過去」「事実」「習慣」をどれだけスムーズに引き出して確認できるかです。
人を「見立てる」には、まず語彙を増やすこと
思わわず膝を打ちました。
語彙が豊富であるということは、人を見る目の解析度が高いことであると、著者は言います。
相手の心のひだに分け入る、もしくはかゆいところに手を届かすためには、貧弱なボキャブラリーは及びではありません。
例えば、ある人が「青」という言葉しか知らなかったら、その人はスカイブルーもライトブルーも群青色も藍色も、全部「青」だとしか判別できないでしょう。
まったくそのとおりだと思います。
悩ましいのは面接を受ける側の語彙ストックが貧相である場合、こちらの語彙のバラエティーにビビッドに感応できない学生が少なからずいるという現実です。
「わかりやすさ」が最上であるという風潮の弊害がこのようなところに漏れ出ているのかもしれませんね。
採用がますます厳しくなる時代に
コネ採用は昔からありましたし、今でも一般的です。これからの時代、より優秀な人材を確保するためには、知り合いのルートを積極的に開拓することはとても効果的であると思います。全社ベースでリクルーティングできる企業だけが生き残っていくのでしょうね。
あなたの会社はどうでしょうか?