新型コロナウイルス感染症は選考のスタイルを一新しようとしている
新型コロナウイルス感染症の世界的拡大によって、2020年の春から本格化する予定であった採用活動は、現在も大きく影響を受けています。
企業側、学生側ともに、それまでとは全く異なる対応を強いられている現状が続いています。
6月に入りましたので、これまでの状況について一旦、以下のように整理をしたいと思います。
統計調査の結果ではなく、あくまで個人の実感(情報収集)に基づく考察であることを、あらかじめご了承ください。
これまでとは異なる点とは
コロナウイルスの影響により、人と人との接触が極端な形で制限されました。
従来とは異なる「方法」の選択を企業サイドは余儀なくされています。
ホームステイの徹底によって、学生側も活動が著しく制約を受けました。
これまでとは異なる点は、
- 選考がWEB中心にて展開されてきている
- 面接プロセスがすべてWEBの企業も出てきた
- 内定の時期の分散化傾向に拍車がかかった
- 就活生のメンタル面は意外とタフ
- キャリアセンターの位置付けが微妙になる
- 対面式の価値が相対的に上がってきている
- 自己分析や企業研究の時間が結果として増大した
選考がWEB中心にて展開されてきている
以前からWEB選考をしていた企業以外にも、必要に迫られ、筆記試験や面接をWEB上にて実施する企業が飛躍的に増えました。
人事サイドも慣れない場面が多く、スムーズではない進行も少なくないようです。
面接プロセスがすべてWEBの企業も出てきた
最終面接までWEBで実施するのか、最終面接だけは対面式を採用するのかは、もちろん企業によって異なります。
学生の話を聞いている限りでは、WEBですべて完結という企業が半分程度もあります。
学生側の言い分としては、モニター越しゆえに、手応えがほとんどつかめずに、戸惑いが広がっているようです。
そのような懸念は人事サイドも同様であると思われます。
内定の時期の分散化傾向に拍車がかかった
業界にもよりますが、元々早期に決着しようと計画していた企業の他にも、感染症の拡大を考慮し、3月中に一気に採用活動を終了しようと目論んだ企業も少なくなかったようです。
したがって、ステイ・ホームが本格化する前に就活が終わった学生と、これからという時にストップがかかった学生に二極化しました。
5月の終わりから採用活動が再開され、徐々に内定も出ているようです。
6月から仕切り直しとなる企業も多く、内定出しの時期は夏に向かって分散されていく見込みです。
就活生のメンタル面は意外とタフ
自分だけじゃないという意識からか、このような状況を学生は驚くほど冷静に受け止め、受け入れています。
焦りや不安はありますと口にはしますが、態度はそれほどではないように物語っています。
スケジュールが後ろ倒しになったために、いい意味での一種の開き直りが見受けられます。
就活終結の目安が、これまでであればできれば6月中には終わらせたいですといったものから、納得するまでとことんやりますと時期を特に決めない発言へとシフトしています。
キャリアセンターの位置付けが微妙になる
校内への立ち入りが原則禁止の大学がほとんどであるため、キャリアセンターとの接触も基本的には電話やメールとなっています。
予約が取れない状況が続くことから、キャリアセンターをあてにできない、しないといった学生も増えているようです。
特に、模擬面接の機会が極端に減少しており、キャリアセンターへの相談はエントリーシート の書き方関連が多くなっている模様。
対面式の価値が相対的に上がってきている
WEB選考の経験値が増えたために、面接度胸については一定以上のトレーニングがなされています。
その反面、モニター越しの心もとなさからか、対面式の面接を強く希望している学生が多いようです。
実際、対面式の面接を当社でも行いましたが、学生のしゃべりに切実さや思いが滲み出ている(溢れている人もいます)ように感じました。
自己分析や企業研究の時間が結果として増大した
外出できない状態が長く続いたために、結果として自己分析の掘り下げや企業研究を詳しく行うなどの行動をとった学生が増えたと言えます。
やることがないので、料理に挑戦したり、料理をする時間が増えましたという学生の発言が少なくありませんが、ネットにそのように答えた方がいいという情報が掲載されているからでしょうか。
ちょっと興味深い現象(傾向)です。
アフターコロナ、ウィズコロナ
世界的な流れは、コロナ感染拡大の終息後のあり方や、コロナとともに生きていく「新生活様式(新しい日常)」に焦点があてられ始めています。
採用活動の場面においても、変化は確実に起こっています。
WEB選考がメジャーになりつつありますが、対面式での接触がなくなるわけではないでしょう。
企業サイドは、より丁寧な「人物評」を求められる時代になってきました。