もはや誰も得しない職場の慣習やルールに、あなたも苦しめられてはいませんか?
業務改善・オフィスコミュニケーション改善士である沢渡あまね氏は本書において、旧態依然の仕事のやり方や職場の無意味な慣習は個人と組織のリスクであると断言します。
沢渡氏の著作である「問題地図」シリーズは言わずと知れたベストセラー。ユニークなイラストが印象的。
仕事ごっことは?
それは、ビジネスの場において当たり前とされているけれど、実は無駄に私たちの足を引っ張る習慣を指します。
次のように定義づけます。
仕事ごっこ
- 生まれた当初は合理性があったものの、時代や環境や価値観の変化、および技術の進化にともない、生産性やモチベーションの足をひっぱる厄介者と化した仕事や習慣。
- コラボレーション、ひいてはその組織とそこで働く人の健全な成長を邪魔する形骸化した仕事の習慣。あるいは、仕事のための仕事。
例を挙げると、
そもそも会議する必要あるんですか?
紙の原本、保管する必要あります?
きれいな説明資料必要ですか?
なぜなら、
- 仕事ごっこは迅速なコラボレーションを阻害します。
- あなたの成長機会を奪ってしまいます。
冗談ではありません。
「仕事ごっこ」は、組織の生産性と価値のみならず、個人のEmployability(雇用される能力)も下げかねないのです。
思い出して下さい。
仕事は生きています。
時代や環境や法制度が変われば、陳腐化したり、役立たずになってしまいます。
ゆえに、
正しく、アップデート(最新化)していかなければなりません。
- 業務改善を目指している人
- 日々成長したいと願う人
- 組織活性化をもくろむ人
本書の構成について
本書は、全部で12話からなる「ものがたり」の形式を借りながら、あなたの周りにある「仕事ごっこ」について解説しています。
- 紙の書類のムダ、印刷ー押印ー郵送のムダ
- 資料作成のムダ、会議のムダ
- 履歴書や申請書をいちいち手書きさせるムダ
- オープンイノベーションの罪
- どうでもいいビジネスマナー
- モチベーションを上げようとして、かえって下げる悲劇
- コミュニケーションにいちいち水を差すPPAP
- いまどきテレアポのみで営業をかける人たち
- 相見積もり、コンペ、提案泥棒
- 年末年始の挨拶や表敬訪問
- ダイバーシティごっこ
- 「管理職ごっこ」「管理職ズラしてマウンティングする人たち
オープンイノベーションとは、新技術・新製品の開発に際して、組織の枠組みを越え、広く知識・技術の結集を図ること。一例として、産学官連携プロジェクトや異業種交流プロジェクト、大企業とベンチャー企業による共同研究などが挙げられる。(出典:コトバンク)
イソップ物語の一説のように寓意を込めて物語が展開した後に、的確な解説が続くスタイルとなります。
組織や人が残念になっていかないために
すでに意味をなさない・時代遅れである昔ながらのやり方に固執する人たちが、大きな顔をしていられる組織・会社は早晩、市場から退場を余儀なくされるでしょう。
少なくとも、チャレンジングに仕事に取り組みたい人たちはその場から去っていこうとするはずです。
さらには、残念な人を量産する組織からは、優秀な人、やる気のある人が遠ざかります。すなわち、組織も人もどんどん残念になっていくのです。
働く個人も組織も正しく成長するためには、次の2つが不可欠であると著者は言います。
- 古いやり方を改める、なくす。
- はじめから無駄な仕事や慣習がない。
今後、ますますヘルシーな組織(会社)とアンヘルシーな組織(会社)の格差は広がっていくのでしょう。
古い仕事や慣習に最大限の敬意を払いつつ、もうすでに「耐用年数」を過ぎているのならば、廃棄処分し、引導を渡すしかないのです。
理不尽がまかり通る職場に合理性の光は指しません。
光の満ち溢れた場所にあなたは変えるべきです。