コロナウイルス感染症がもたらした新しい形式
11月中旬時点において、2021年卒の就職活動は事実上、終わったと言っていいでしょう。
もちろん、現在も採用募集はあり、一部の学生の活動も継続的には行われています。
しかしながら、22年卒の活動も本格化している中、大半の学生の活動には終止符が打たれています。
以下に、試行錯誤の連続であった2020の就活について、備忘録的に一応の総括を記します。
おそらく、
22年卒についても、現在のトレンドに添いながら、各企業が創意工夫をこらさねばならない一年になると思われます。
2つの特徴
次の2つが極めて特徴的でした。
- オンライン化への加速
- 売り手市場色が弱まる
オンライン化への加速
感染症の拡大に伴い、不可避的に対面接触のリスク軽減に企業対応を迫られました。
代表的なのがオンライン上での選考実施です。
以前より、採用していた企業は非常にスムーズに運用を実現できたはずです。
一方、必要に迫られて始めた企業の多くは対応や運用に四苦八苦しました。
Webによる説明会や試験は言うに及ばず、オンライン面接の実施も余儀なくされたはずです。
勝手がわからないのは、学生も人事もお互い様で、十分な手応えを得られないままに不安に陥った学生も少なくありません。
売り手市場色が弱まる
感染症の影響で、急速に業績が悪化した業界、企業が多くできてきました。
現在も、その数は増え続けており、それに伴い新卒採用の中止や採用数の激減が学生を直撃しています。
志望する業界の実情から、方向転換を迫られ右往左往した学生も大勢でてきました。
このようなトレンドから、売り手市場から買い手市場へマーケット変化があったとの論評も目立ちます。
しかしながら、母集団形成が容易ではない現状に鑑みますと、企業サイドが優位に立っているとは言いきれないでしょう。
オンライン化によって、学生の側は企業選択の網を今までよりも確実に広げることが可能となりました。
市場感は、売り手市場が弱まっているというところが妥当ではないかと思われます。
効率的の意味が違ってきた
感染症対策から、企業主催のイベント型合同説明会や大学主催の学内セミナーが相次いで中止になったり、限定的な開催が実施されました。
そのために、効率よく企業接触が図れていた学生サイドは痛手を被ることとなりました。
その一方で、オンライン化の促進により、飛躍的な数の企業訪問が可能になったこともまた事実です。
オンライン内での企業接触の完結だけでは、手応えが得られずに、学生はより一層対面での接触や事務所へ足を運ぶことを求める結果となりました。
オンライン上のリアルだけでは心許なく、就職先を決定するわけにはいかないという焦りがそうさせたのでしょう。
対面時のハードルが上がる
オンラインがデフォルトになると、対面時のお互いの求める「ハードル」が上がらざるを得ません。
学生側からすると、
- 折角足を運んだのだから、情報量満載の説明会でないとガッカリです。
- 折角足を運んだのだから、実りあるやりとりの面接・面談でないと意味がない。
人事の側からすれば、
- オンラインでは多少大目に見てきたが、対面の場合は容赦はしないよ。
要するに、
お互いがお互いを見る目が格段に厳しくなります。
ある意味、両方向からの厳選採用の実施が避けられません。
不安の増長
オンライン面接における不安は、学生にも人事にもついてまわります。
きちんと伝わったのだろうかという不安から逃れられないのです。
ゆえに、
オンライン面接の「作法」というものが早晩確立され、その対策も打ち立てられていくことでしょう。
不安の増長は、内定後も引き続き小さくなることはありません。
内定後のフォローがある意味、最重点事項に浮上したと言い切る企業も少なくないようです。
辞退率の低減はこれまでも大きな課題であったはずですが、一層の努力が求められることとなりました。
不安な学生をフォローすべき人事もまた不安と戦わねばならない図式が成立しているのです。