ドイツ人の1年は、休暇予定を考えることから始まる
隅田貫氏は言います。
しかし改めて本書の内容を読み返すと、ドイツ流の働き方は、こうした危機的な時代状況においても大切にすべき、あるいはより重要性を増しているという思いを強くしています。
著者は通算20年にもわたるドイツでの経験をもとに、次のような結論を導き出します。
要は「いつも100点を目指す」のではなく、「場合によっては70点でも良い」ーそのメリハリこそが、効率化につながる。
このことが、ドイツが日本に比べて生産性が高い理由なのでしょう。
つまり、
何を目指すべきか、何を求められているのかを、しっかりと個々人が理解・認識しているのです。
言い換えるのならば、無駄なことをしないが徹底されていると言えます。
生産性が上がらない道理はありません。
柔軟性が生産性と強く結びついていることを、あなたもそろそろ知るべきなのです。
- 生産性が上がらない方
- 残業が一向に減らない方
- 組織的な効率化に悩んでいるマネージャー
本書の構成について
本書は全部で7つのパートから構成されています。
- 生産性、日本とドイツで差がつく理由
- 「自立・独立の考え方」が生産性に直結
- 報・連・相、会議・・・「それ本当に必要?」
- 退社時刻を決める、優先順位を考える
- フラットな組織は「スピード」が速い
- まず「休む」、その後に「仕事」がある
- リモートワークでも「日X独」式の働き方を
ハルツ改革
ドイツの生産性が上がったのは、この20年だそうです。
シュレイダー政権時に抜本的な改革が断行されました。
いわゆる、ハルツ改革です。
主に次の4つの改革が実行されました。
- 雇用促進のための職業訓練、雇用あっせんの強化
- 労働市場の規制緩和
- 解雇制限の緩和
- 失業保険給付の縮小
仕組みをつくり、長い時間がかかっても定着させるドイツ式のやり方が見て取れるはずです。
時間はコントロールするもの
日常的によく耳にする「忙しかったから、できなかった」という言葉はドイツではなさそうです。
それは仕方がないで済ますのが日本人ですが、ドイツ人には通用しません。
なぜなら、ドイツ人は自分で時間を管理するのは当たり前だと考えているためです。
その日に忙しくなることがわかっていたのならば、そうならないように時間のやりくりをするのが当たり前であるからです。
やりくりできなかったということは、つまり、やるつもりがなかったを意味します。
人間の寿命は有限であるのだから、時間管理とは人生管理に他なりません。
時間を意識的にコントロールするとは、人生を主体的に生きることと、おそらく同義なのでしょう。
明日からできる仕事術
労働時間を短くして、生産性を向上させる方法として、著者は次のような提案をしています。
10分でもいいので、しばし「仕事ファースト」から離れて、自分の時間をつくるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。
- 1対1でランチを共にする
- 会議の目的を明確にする
- 「今日決めて、明日作業する」感覚
- 毎日、「3つだけやるリスト」をつくる
- オフサイトミーティング
- 変化をつくる
- 自分の時間をつくる
生産性向上というものは根をつめて働くことで実現するものではなく、逆に働く人たちに余裕ができて、自分の時間をつくった結果、自然と上がっていくものではないか。私はそのように感じています。
これから先は、間違いなく著者の感覚の方向に、働き方はシフトしていくのでしょう。