まったく新しい組織の教科書の登場!
「天才を殺す凡人」や「転職の思考法」の著者である北野唯我氏は「なぜ、この本を書いたのか?」と問われるならば、次の答えを用意されています。
あきらかに日本が立ち行かなくなっている理由の1つは、職場のオープネスの低さにあるから、です。
クローズドな職場よりもオープンな職場の方が働きやすいとあなたも直観的に理解できるはずです。
なぜなら、仕事の進めやすさが違うからです。
コミュニケーションがとりやすく、情報も共有化されやすいために、生産性もあがり、業績も高い傾向を示します。
であるのならば、
なぜ職場のオープネスは高くならないのでしょうか?
そのほうがいいに決まっているのに不思議ですよね。
私はこの謎を解き明かし、職場のオープネスを1%でも高めたい。そう思って、この本を書きました。
オープネスの高い職場ってどんな職場なんですか?
それは、
成果を出すために、健全に意見をぶつけあえる場
に他なりません。
意見がぶつかるとき、たいていの場合は感情もぶつかり合っています。
怒りや恐れといったネガティブな感情が渦巻いているはずです。
だからといって、
仲良しクラブのように、ゆるゆるした関係が目指されているわけでは決してありません。
そのような組織はビジネス的緊張がないため、生産性とは限りなく無縁であるはずです。
オープネスの概念を北野さんは次のように説明します。
閉鎖的で自分の意見も言えないが、怒られることもなく、機械のように働く職場」から、「開放的で自分の意見を自由に主張できるが、ときとして意見の衝突もあり、厳しさもある職場」へ移行するための「コンセプト」なのです。
今の職場に閉塞感を少しでも感じているのならば、ぜひ本書を手に取ってみて下さい。
- 組織の生産性を上げたい方
- 前向きな意見を出し合いたい方
- 同僚との距離感に悩んでいる方
本書の構成について
本書は全部で4章から構成されています。
- オープネスの発見
- オープネスとは何か
- オープネスをどう高めるか
- オープネスをどう使うか
オープネスとはなにか?
オープネスとは、組織運営において最も重要な要素のひとつです。
具体的に言うと次の3つの特徴を持ちます。
3つの特徴
- 経営開放性(経営と現場の関係がオープンになっているか)
- 情報開放性(社内情報へアクセスしやすいか)
- 自己開示性(自分の才能を表現しても攻撃対象にならないか)
たとえば、
就活生がよく口にする「職場の風通しの良さ」とは、
主に「情報開放性」と「自己開示性」が影響していると言えます。
その職場は意見を自由に述べることができ(=情報開放性)、そして自分の素の部分を出せる状態にある(=自己開示性)。こういう構造にある。
オープネスに対する誤解
オープネスに対する誤解の代表的なものは次の3点です。
- 高ければ高いほどいいわけではない
- 大きい組織だと高められないはウソ
- オープネスが高い組織=フラットな組織ではない
高ければ高いほどいいわけではない
- 人は必ずしも極度に高いオープネスを求めてはいません。
- 人々が期待する水準に対して、実態が上回るのであれば、それでいいのです。
大きい組織だと高められないはウソ
- 風通しの良さは従業員数だけではほとんど決まりません。
- 風通しの良さとは、その会社特有の固有値であるゆえに、多いから風通しが悪い、少ないから風通しが良いとは単純に言えません。
オープネスが高い組織=フラットな組織ではない
- 組織階層が多くても「オープネスが高い組織」もあるし、その逆もあります。
- オープネスが高いかどうかは、階層の数やフラットさから独立した要素であると言えます。
オープネスを邪魔する3つの罠
つぎの3つです。
- ダブルバインド
- トーション・オブ・ストラテジー(戦略のねじれ)
- オーバーサクセスシェア
ダブルバインド
ダブルバインドとは一般的には二重拘束状態のことです。
たとえば、
上司から「自由に意見を言っていいよ」と言われるが、実際に自由な意見を言うと、まったく歓迎されない
などの、言語的に上司が言っていることと非言語的に上司が「言っている」ことが違うケースです。
部下はたまったものではありません。
トーション・オブ・ストラテジー(戦略のねじれ)
伝言ゲームにおける情報伝達の困難さをイメージすれば、わかりやすいでしょう。
つまり、
トップから伝えられた戦略・事実がレポートラインに即して報告されるうちに、少しづつねじれ、本来の意図とはまったく違う形で現場に下りてくる現象のことです。
ラインの途中に、理解力に欠ける人間がいたならば、目も当てられません。
オーバーサクセスシェア
サクセスシェア(成功事例の共有)を過度にしすぎると、組織のオープンネスは反対に下がってしまいます。
社長やリーダーたちが自分たちの、そして組織の失敗をどんどん開示することで、組織のオープネスは適切に保たれるのです。
オープネスを高めるために
経営開放性を高める
高めるためには、経営者やリーダーは次の2点をオープンにすべきなのです。
大事な2点
- 失敗が起きたときにどのような解決策をとるのか。自らの失敗を開示できるか。
- なぜ経営者をやっているのか。
情報開放性を高める
情報開放性を高めるためには次の3つの方向性が重要です。
3つの方向性
- 印象性を高める
- アクセス性を高める
- 質疑性を高める
もう少し詳しく言うと、
3つの方向性
- 戦略に対して、わかりやすく印象に残る形で伝わっていると思えること
- アクセスしたい情報が、大きな労力なく手に入れられること
- 上司や他の部署に対する質疑が公開された場で行えること
自己開示性を高める
ひとりひとりの才能を活性化させること、すなわち、才能と仕事をクロスさせることこそが重要となります。
しかしながら、
すべての社員が創造性を発揮して、かつ儲ける組織とすることは容易ではありません。
特に、組織スケールが大きくなるにつれて、その難易度は飛躍的に高まります。
ゆえに、現実的に目指すべきは、
ある程度、人々の創造性を犠牲にしながらも、それでも人々がイキイキと、かつ生産性高く働ける環境をどうつくるのか、であるべきなのです。
このような環境、働きがいのある会社をつくるためのポイントが次の3つとなります。
3つのポイント
- 創造性を発揮しやすい環境
- 再現性を発揮しやすい環境
- 共感性を発揮しやすい環境
あなたがリーダーであり続けるためには、何よりもオープネスを高める努力が必要なのでしょう。