職場が「残念」だらけになっていて、もしかして途方に暮れていませんか?
健康社会学者である著者の河合薫氏は、職場の残念な現象について、数多くの研究をベースにしながら、600人にも及ぶインタビューを通じて改善の処方箋を紹介します。
職場は、科学的根拠に乏しい思い込みや慣例が氾濫しやすく、それらが当たり前として広がっているために、一般的に「残念」に覆われがちです。
非生産的で不合理な当たり前が疑いもなく信じ込まれるとき、職場はいとも簡単に残念な職場と化します。
職場の意味不明を撲滅するには、当たり前が当たり前じゃなかったことを知ることしか道はありません。
そのために、
本書では次の4つについて、できる限り紹介されています。
豊富な具体例
- 科学的エビデンスのある研究結果
- 実際にあった残念なストーリー
- 常識を覆す数字
- 外からのまなざし
これらを例示しながら、
- 人の心の動き(心理学)
- 社会の窓(社会学)
の両面より、「残念な職場」からの脱却策が展開されているのです。
- 職場環境を変えたいと願っている人
- 悩める人事パーソン
- 組織マネジメントに苦労している管理職
本書の構成について
本書は全部で5章から構成されています。
- 無責任な人ほど出世する職場
- 現場一流、経営三流の職場
- 「女はめんどくさい」と思われている職場
- 残業のリスクを知らない職場
- 残念な職場を変えるには
どのページを開いても具体例(エピソード)にあふれていて、なるほどの連続ですし、単純に読んでいて楽しいです。
理想の職場とは
絶望したくなるような残念な職場においても、あなたは絶望ばかりしているわけにはいきません。
悲惨な状況を改善し、「残念な職場」を「理想の職場」に近づけていく努力が必要となります。
理想の職場とはどのような職場でしょうか?
河合さんは断言します。
「人生(=Lifetime)の邪魔をしない職場」です。
幸福著者は、人間は3つの幸せのボールを持っていると言います。
幸せのボール
- 仕事
- 家庭
- 健康
人間は仕事、家庭、健康という三つの幸せのボールを持っていて、どのボールが地面に落ちても、幸せになりません。人生の邪魔をしない職場では、「仕事」「家庭」「健康」のボールをジャグリングのように回し続けられます。
おそらく、
これら3つのボールはお互いを否定するものではなく、お互い影響し合うものに違いありません。
ゆえに、
1つのボールを輝かすために、別のボールを犠牲にするやり方は、結果として、すべてのボールを地面にたたきつけることになってしまいます。
家庭が輝くためには、健康を維持するためには、仕事をおろそかにはできないのです。
いきいきとした仕事をするために、職場は決して「ザンネン」であってはなりません。
残念な職場にあなたの人生を邪魔させる権利などないのです。