すご腕人事・労務コンサルタントが教えるコンフリクト克服の処方箋をあなたも知りたくないだろうか
グローディア代表であり、経営・人事コンサルタントである著者の各務晶久氏は、こらからの日本企業の浮沈のカギを握っているのは、コンフリクトマネジメントに成功するかどうかであるといいます。
ダイバーシティ経営を目指すこれからの日本企業は、価値観の異なる人たちが職場内で一緒に働くことが当たり前の時代を迎えます。
立場や考えが異なるゆえに、職場は、対立や葛藤の場面、いわゆるコンフリクトのシーンが日常的に発生する場となるのです。
今日、多くの企業は、職場を構成する構成員の価値観の多様化に伴うコンフリクトを上手にマネジメントする必要性に迫られています。
本書では、著者の豊富な経験に基づいた多くの実例が紹介・解説されます。
いずれのケースも異なるパラダイムや価値観を持つがゆえに職場で起こったコンフリクトであり、これからの時代、どの企業でも起こり得る典型事例ばかりを集めている。
もしかするとあなたは、事例を前にしたときに、自分と似た立場には強く共感してしまうかもしれません。
しかしながら、
一方の対立する立場の相手が、どのように物事をとらまえ、判断を下しているのかに関心を持って読み進めるのならば、より多くのことをあなたは得ることができるはずです。
コンフリクトは片方の言い分だけでなく、双方の視点で事象を立体的にとらえて解釈しないと本質はわからないものだ。
より良き職場環境の醸成を目指すのならば、本書の内容に耳を傾けることは非常に有効であるといえます。
- 職場の人間関係に悩んでいる方
- 組織運営を上手に行いたい管理職
- よりよいコミュニケーションを組織内で求めている人
本書の構成について
本書は7つのパートから構成されています。
- オーナー社長VS大企業OB
- ゆとり社員VSバブル上司
- 専門志向VS上昇志向
- 営業トップVS経営層
- 意識高い系部下VS実直上司
- 女性総合職VS男性上司
- コンフリクトマネジメント入門(理論編)
1から6まではケーススタディと解説になります。
職場でよく見かける、典型的な対立の構図に切り込んでいきます。
どちらにも相応の言い分が認められるために、対立は根深いものとなり、出口を求め長期化します。
一歩引いた俯瞰的な視点が、いずれの場合にも必要であるのでしょう。
対立を生み出す3つの要素とは
対立は、その発生原因から次の3つに分類できます。
3つの要素
- 条件の対立
- 認知の対立
- 感情の対立
もう少し詳しく言うと、
3つの要素
- 立場や役割の違いによって起こる目標・条件の対立
- 思考・価値観の違いによって起こる物事の解釈の対立
- 条件・認知の対立状態が続いたり、その経験がもとになったりして起こる心情面の対立
各々の対立のゴールはというと、
対立の果てのゴール
- 自分が譲歩できる範囲の中で、相手が許容できることを探って交渉し、合意を得る
- 相手と同じ立場に立って共感し、相手を理解する
- 感情のもつれを解きほぐし、冷静な話し合いの場に持ち込み、感情を受け止め、共感を示し合う
感情の対立が起こっているときに、いくら冷静に論点を整理して伝えても相手には響かない。逆に条件の対立なのに、こちらが感情面にフォーカスすれば解決が遠のいてしまう。
対立の原因分析は初歩の初歩ではあるが、これほど大事なこともないのです。
コンフリクトの構造分析とは
コンフリクトの解決に至るまでには、今起こっているコンフリクトを構造的にとらえて全容をつかむ必要がある。
対立している当事者同士は、「渦中の人」であるため、見えているものだけに注目し、それを問題視しがちです。
しかしながら、
まだ指摘されていない隠れている要素についても、目くばせしながら、幅広く考察することで、コンフリクトの全体像を捉えることができるはずです。
全容をつかむためには、コンフリクトを構造的に分析する必要があるといえます。
そのために有効なのは次の6つの視点なのです。
ちなみに、これら6つの視点は本書の中で引用されている鈴木有香氏の考察に基づいています。
6つの視点
- 世界観
- 立脚点
- ニーズ
- 問題の再焦点化
- 建設的提案
- 破壊的提案
もう少し詳しく教えて、
6つの視点とは
- 自分にとって「常識」「普通」と思えること
- 相手への「要求」や「非難」という形で示されるお互いの意見の対立点
- 当事者が話し合いに臨む直接的な動機
- 当事者双方のニーズが満たされるような視点から問題をとらえ直すこと
- 問題解決のための相手へ配慮した提案
- 交渉相手のニーズの実現を妨害するような解決案
最後の「破壊的提案」については、それ以外と比較して少々毛色が違う印象を持たれるかもしれません。
協調的交渉の実現のためには、このような提案は当然に避けなければなりません。
けれども、
「落としどころ」を模索する際のひとつのカードとして理解しておくことは損ではないはずです。
破壊的提案は、使用すると両者の関係に大きなひびを残す可能性のある案であるが、実行しないまでも、自分たちが相手に最大の打撃を与えられる案というものを知っておく必要はある。
コンフリクトを超えて
職場はまさに人生が交差する場所であり、どちらか一方の視点で、衝突を起こした当事者の善悪や勝ち負けを決められるほど単純ではない。
単純でないにもかかわらず、人間という生き物は、物事を理解するために、単純化・矮小化の方向をとってしまうものです。
細部に目を向けようとしないゆえに、微妙なニュアンスを取り逃がしてしまいます。
だからこそ、コンフリクトにはマネジメントの意識が不可欠となるのでしょう。
葛藤や対立を深めた者同士が、適切なプロセスを経て、コンフリクトが解消されたとき、お互いの理解は深まり、結束が強まることはあなたにも容易に想像できるはずです。
増加するコンフリクトを脅威として捉えるのではなく、相互理解を進めるチャンスとして生かす土壌を育むべきだ。
コンフリクトを100%避けることはできません。
であるならば、「雨降って地固まる」をあなたは目指すべきなのでしょう。
本書はそのために役立つヒントが満載です。