パソコンやスマホなどのIT機器を駆使すれば効率化するという考えは幻想にすぎない
獨協医科大学に勤務する医師井原裕氏は、精神科医として現場に立ちながら、大学病院の教授職であるため多忙を極めておられます。本書では管理職の役割も大きい現在の経験を活かした仕事術を展開しています。
こういうところに部門長として勤めていると、一精神科医としての役割に加え、マネージャーとしての役割も大きくなってきます。その点こそ、私の仕事の経験が、ビジネスパーソンの方にもお役に立てるのではないかと考えた理由です。
ここでは仕事の方法として、以下の3点の方法があげられています。
仕事の方法
- 発想の管理
- 書類の管理
- 時間の管理
精神科医としての私の知識と経験が反映されています。特に時間管理において、眠気の周期性という生理学的な法則性を考慮に入れた点が特徴と思われます。
- 中間管理職以上
- 業務の効率化を図りたい人
- 新しい仕事術を試したい方
本書の構成について
本書は、全部で4つのパートから構成されています。
- 知られざる「白い巨塔」の日常
- 発想の管理(5秒以内に手帳に書き留める)
- 書類の管理(修正型「超」整理法を活用する)
- 時間の管理(睡眠を時間管理の中心に置く)
仕事術の三要点とは
著者が実行している仕事術の核をなすのが以下の3点となります。
- (発想の管理)アイデアはすべて5秒以内に手帳に記す
- (書類の管理)必要な書類の9割を30秒以内に机の上に取り出すようにしておく
- (時間の管理)時間管理の中心に睡眠リズムを置く
発想の管理のために
24時間、ペンを挟んだ5号ノート(A6サイズ)を持ち歩く。
「忘れてはいけないが、いちいち覚えていられないこと」をすべてノートに記載し、次の瞬間に意識の外に追い払います。
作業記憶に無駄な負担をかけないためです。
書類の管理のために
書類のしまい方を工夫する。
角型2号封筒を大量に使い、保管場所はすぐ手の届く、机の右袖引き出しに統一します。
作業の流れを中断させないためです。
時間の管理のために
昼寝中心主義を貫きます。
起きている時間の全17時間のちょうど真ん中、つまり起床時刻から8〜9時間後に昼寝の時間を設定し、その前後に何をするのかをあらかじめ考えます。
休憩効率の高い昼寝をあえて覚醒時間の中央に置き、集中力のピークを一日に二度以上作るためです。
医師としての専門性に即し、心身の理屈に沿いながら、極めて合理的な効率化が目指されています。
私は医師であり、精神科医ですから、身体の法則性がいかに強力に思考を支配しているかを知っています。したがって、根性論、気合主義を採ることはあり得ません。なぜなら、それらが、生理学的な法則性に反することを知っているからです。
著者のおすすめ文具
井原さんが日々愛用している便利品を参考までにご紹介します。
仕事の相棒である手帳と筆記用具になります。
シャーボ2000はアマゾンレビューにおいても上々なので、試しに使ってみようかなと思案中です。
昼寝中心主義宣言
生理学的な法則性には、抵抗しても無駄です。むしろ、それに合わせて日課を考えたほうがいいのです。
「時間の管理」は医学者であるゆえに一層、説得力に満ちています。
睡眠(長短を問わず)がいかに仕事のパフォーマンスを上げるかについて、豊富なエピソードとともに解説されています。
およそ仮眠ほど、効率のいい休憩法はありません。休憩の目的はそれ自体ではなく、その後にロケットスタートを切るためです。
あなたが、オフィスワーカーであるならば、昼休憩の時間は必ず睡眠をとるようにしましょう。
午後からの能率・効率が各段に違ってくるはずです。
どんなに優秀な人間であっても、眠気があると次のような「仕事ができない人」と同じような状態に陥ってしまいます。
仕事ができない
- 優先順位がわかっていない
- 求められる正確性のレベルがわかっていない
- 労力の傾斜配分ができない
眠気は、一時的であれ、人を「頭が悪い」状態に陥らせるのです。
眠気を一掃し、頭を澄み切った状態にキープしておくことは、いい仕事をするための前提条件です。
そのために、昼寝(たとえ10分以内でも)は必要不可欠なのでしょう。
あえて昼寝中心主義を主張する理由は、ひとえに、作業中の脳の覚醒度を最高レベルに上げるためです。
効率よく仕事を遂行するために、著者が提唱する睡眠管理スタイルに耳を傾けることは、あなたにとって非常に意味あることだと思います。
デジタル絶対主義者のあなたもぜひ、手に取って確かめてみてください。