今まで誰も語らなかったホンモノの管理職論!
大手人材開発会社の元人事部長で、現在は人事コンサルタントである著者の鈴木秀明氏は、本書の冒頭において次のように宣言します。
この本では、筆者自身が体験したことだけに絞って、本音を書いていきます。
本書のユニークネスは、管理職向けの本と言えば部下指導に終始するところを管理職の上司に対してのスタンスなどにも言及している点にあります。
しかし、管理職にも上司はいます。ところが、管理職が上司に対してなすべきことを書いている本は、あまり見受けられません。本書では、このことにもいくつか触れています。
管理職向けに47の項目について書かれている本書は、大きく2つのトーンに分かれていると言えます。
2つのトーン
- 管理職として、せっかく見られる立場になったのだから、それを利用して、見られても大丈夫である人間に自分を引き上げること
- 自分をよく知り、その自分を周りに知らせる努力を怠らないこと
つまり、管理職である前に、一個の人間として豊かな人格形成に努めましょうと、著者は言うのです。
くれぐれも誤解してはならないのは、本書の内容を単なる精神論として理解してしまうことです
一見すると説教臭が嗅ぎ取れるかもしれませんが、ここには豊富な経験に裏打ちされた極めて実践的で友好的な言葉がちりばめられています。
ぜひ、手に取って、その「風味」をあなたも楽しんでみてください。
- 自信のない管理職
- 上司をもっと理解したいすべての部下
- 部下をもっと理解したいすべての上司
本書の構成について
本書は、全部で4章から構成されています。
- 管理者の心得
- 仕事の進め方
- 上司との付き合い方
- 部下との付き合い方
全部を順に読む必要もありませんし、必要なければ、とばしていただいて結構です。いくつかでもうなずいていただける箇所があれば幸いです。
とはいうもの、
必ず全部読んでください。
浮ついた表現や気の抜けた言葉はひとつもありません。
管理職経験が長ければ長いほど、なるほどと膝を打つことをお約束します。
特に心に残ったものとは、
47個のうち、特に印象深かったものを以下にピックアップしました。
管理職の優先順位のつけ方
悩んだときは、2つの視点で考えてみるのがいいでしょう。
2つの視点
- 自分より遠い、または、自分より上の人の仕事からやる
- 自分の思う通りにならない度合いの高い仕事からやる
リーダーシップとは
端的に言うと、リーダーシップとは、自分で決めたことをするために、人の前を歩きたい人が好む行動のことだと定義できるのではないでしょうか。
立派な人の順位
著者が考える立派な人の順位は次のようになります。
- 自分には厳しいが、部下には優しい
- 自分には厳しく、部下にも厳しい
- 自分には甘く、部下にも甘い
- 自分には甘く、部下には厳しい
性格について
性格について覚えておくべきことは、
- 人間の性格はなかなか変わらないものである
- 性格は発揮される場面により、良くも悪くも出るという二面性がある
このほかにも、心に刺さった言葉は数知れません。
管理職の方も、管理職手前の方も、管理職の気持ちや考えがいまいちぴんと来ない方も、ぜひ手に取ってみてください。
さまざまな事柄が、腑に落ち、氷解すると思いますよ。