会社のためよりも社会のために
1999年に富士ゼロックスで始まった「バーチャルハリウッド」は今年で20年を迎えます。
その間、、富士ゼロックスだけにとどまらず、三菱重工業や慶応義塾大学など一企業を超えた広がりを見せています。
バーチャルハリウッドとは、
組織横断型のチーム活動を展開する企業内プログラムの名称です。簡単に言うと「企業内社員提案制度」となります。
そのように命名された理由は、
「想いやアイデア」を持つ社員の提案に賛同する社員たちが「この指とまれ」方式で集まり、企業内の実在する組織とは無関係の「バーチャル」なチームをつくり、「ハリウッド」映画のように、お客様や社会に感動いただけるレベルの提案の実現を目指すと言う意味を込めて「バーチャルハリウッド」と呼んでいます。
その活動は次の5つの特徴を持ちます。
5つの特徴
- 自主的に手を挙げ、テーマを設定すること
- 新たな価値をお客様や社会に届けるテーマであること
- 多様な仲間を集めたチーム活動であること
- 既存組織に縛られない自律的な活動であること
- ダイナミックにチャレンジできるよう直接的な人事評価には結びつかないこと
社会的な価値創造に興味のある方は是非、ご一読ください。
- 新たな価値創造活動を希望している方
- 企業の枠を超えてビジネス展開を目論む方
- 社会の発展に貢献したい方
本書の構成について
本書は全部で5章から構成されています。
- 日本企業が抱えている課題
- VHのコンセプト、VHによって変わる企業
- VHによって変わるもの
- 各社の活動事例
- インタビュー・VHの未来、ニッポンの未来
映画になぞらえた用語が飛び交う
VHでは、映画づくりになぞらえて、その参加者やプロセスを表現する際に映画の用語を使っています。
- ディレクター(テーマの提案者)
- メンバー(ディレクターが掲げるテーマや想いに共感しテーマ活動を共にする者)
- クランクイン(VH活動の開始)
- シナリオ(提案テーマの企画書)
- クランクアップ(VH活動成果の報告・完了)
- オーナー(テーマの実現に向けた支援者)
用語が変わるだけで、日常業務とは一線を画した雰囲気が醸し出されます。
これだけでも、
新しいことに取り組んでいるという高揚感が沸き上がってくるのでしょう。
簡単ですが非常に効果的な仕掛けです。
まさに映画づくりのように、社員が「世の中がこう変わっているから自分はこれをやりたい」「自分たち自身がこうありたい」ということを実現するためのシナリオを自分たちで考え、キャストを決め、映画製作に取り組むという、まさにワクワクドキドキするようなことにチャレンジできる仕組みを発足したわけです。
プログラムのプロセス
活動は次のような一般的なプロセスを進みます。
ここからクランクイン
ここでクランクアップ
会社を使って、やりたいことを成し遂げる
VH活動は、企業が公認している仕組みの中での社員の提案制度であるため、全くの個人で新規事業を起こすのに比べると、企業の信用を利用して社外との接点を作りやすいのも特徴です。
活動のさなかに、個人は自分が所属する会社の「看板」の威光を認識する場面にたびたび出くわすことでしょう。
そのような経験を通じて、
自社の存在感やブランド力といった価値を再認識・再確認することができるのです。
このことによって、
会社へのロイヤリティ(エンゲージメント)が大いに高まることとなります。
あなたと会社の関係がよりレベルアップするのです。