人事事変に対処しなければならない
吉田寿氏は言います。
本書は、雇用・人事の「いま・ここ」を俯瞰し、次世代の働き方と人材マネジメントの「これから」を可能な限り予測して、そのあるべき姿を提示することを主眼としている。
著者は、人事部門をとりまく現在の状況を「人事事変」として捉えています。
受け入れる受け入れないにかかわらず、人事に携わる者はすべて、変化を求められているのです。
自覚したのならば、一刻も早くアクションしましょう。
人事事変は、われわれの世界に確実に働き方の新たなパラダイムへ、ネクストノーマルな人材マネジメントのステージへとアップグレードさせようとしているのである。
- 人事部門
- 経営層
本書の構成について
本書は全部で6章から構成されています。
- 強制的リモート環境で一変する雇用・人事
- 経営と雇用・人材マネジメントのグレード・リセット
- 遠隔のマネジメントを機能させる
- 1ON1ミーティングのブーム的背景を読む
- ネクストノーマル時代のマネジメントとリーダーシップ
- 「タレント・マネジメント」から「ピープル・マネジメント」へ
パーパス・ドリブン経営
世の中が急速に変化するなか、企業は自らの存在意義の再確認を迫られています。
- 自分の会社は何のために存在しているのか?
- われわれはなぜこの会社で働くのか?
これらの根源的な問いかけに対する答えを定義したものが「パーパス」です。
パーパスを社会に対してはっきりと表明する経営が、パーパス・ドリブン経営と言われるものです。
代表的なものには、
- グーグル:世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする
- アマゾン:地球上で最もお客様を大切にする企業であること
- アップル:人類を前進させようという志にこたえるツールを創造し続けることで、世界へ貢献すること
企業だけではなく、働く個人にとっても「自らのパーパス」に向き合わなければならない時代であるに違いありません。
在宅勤務の変遷
アフター・コロナにおける課題は次の3つとなります。
- 評価の公平性が適切に確保できるか
- 目標を明確にして機動的に修正が可能か
- フィードバックがリアルタイムになされるのか
消えていく3つの無限定
リモート・ワークの普及は今まで当たり前であった「無限定」に風穴を開けることとなりました。
- 職務・役割の無限定:職務限定プロフェッショナルの増加
- 労働時間の無限定:ワークアズライフの視点重視
- 勤務地に関する無限定:勤務地フリーのスペシャリストの増加
ネクスト・ノーマルに向けた働き方のポイント
次の6つが上げられます。
- 労働人口の減少
- AIとの共生・共存
- DXの推進
- ジョブ型雇用・人事の普及
- 小さな本社と地方分散の進展
- 人間の仕事は知的創造型が主流に
これからの人事に求められる役割
次の4つとなります。
- 変革リーダー
- 共感クリエイター
- 施策プランナー
- データサイエンティスト
人事のパーソナライズ化は、これから先の大きなトレンドとなっていく。1人ひとりの社員にフォーカスして、どのような人事施策を具体的に打っていくかがカギとなる。人事の仕事も大きく変革を遂げていくということだ。