業績をつくる人事へアップデートする
古田勝久氏は言います。
人事部門が従来の制度の運用やオペレーション人事だけを行うのではなく、経営のパートナーとして先頭に立ち、「生き残り策」を検討しなければならない。
今後の事業競争力は攻めの人事施策にあると著者は訴えます。
企業が環境適応業である限り、変化に対応できる組織改革を断行するためには、戦略人事がクローズアップされていくであろうことはある意味、必然に違いないのでしょう。
今こそ経営・人事がリーダーシップを発揮し、「戦略人事」を実現するときなのである。
- 経営層
- 人事部
本書の構成について
本書は全部で5章から構成されています。
- 「戦略人事」とは何か
- 採用
- 育成
- 評価・処遇
- 戦略的な組織づくり
戦略人事とは
戦略人事とは、経営戦略の目標を達成するための人事施策を意味します。
トップの戦略遂行を支えるビジネスパートナーという位置づけです。
しかしながら、人事部門の機能はそれだけではありません。
従来のルーティン業務を含め次のような機能が求められます。
戦略人事
競合他社との差別化や競争優位性を発揮するために行う人事施策
インフラ人事
既存の事業・業績を維持するためのインフラ(制度・仕組みなど)の整備・運用
ルーチン人事
定型的ルーチン業務や労務トラブル対応などを中心とした人事業務
人材採用の本質的な目的
優秀な人材の獲得は、組織にとってもっとも重要な課題の一つとなります。
事業を動かすのは、優秀な人材に他ならないからです。
必要人材が組織にきちんと組み込まれていることが、経営活動の基盤となります。
戦略人事の観点から、人材採用の本質をみるのならば、その目的は次の通りです。
組織が競争優位性を獲得し、事業の目標を達成するために必要な人材要件を明確化し、募集・選抜プロセスを通して、要件を満たした人材を獲得すること。
ますます高まる経営理念の重要性
近年、世界的に経営理念やビジョンに対する従業員の関心が高まってきています。
理由としては、次の3つがあげられるでしょう。
- 経営理念が企業の信頼度を左右するという点
- 会社で働く人たちが自らの働きがいを求めて経営理念を重視しているという点
- 経営理念が社内でしっかり浸透している企業ほど、業績が良い点
自社やチームが事業で追及すべき「使命」は何か、組織の行動に経営理念やビジョンが反映されているかを検証し、価値観の軸がぶれている場合はあらためて社内での理念・ビジョンの浸透を図る必要があろう。
理念の浸透には、人事の戦略的な施策が不可欠なのです。