データと対話で職場を変える技術を身に着けよう
立教大学教授の中原淳氏は言います。
サーベイを導入する人事・経営企画の方々の人材開発・組織開発の現状、ニーズにお応えし、「データやサーベイ」にまつわる困難を打破したいと考え執筆したのが、本書「サーベイ・フィードバック入門」です。
サーベイ・フィードバックとは、
サーベイ(組織調査)で得られたデータを適切に現場に届け(フィードバックし)、現場の変化・職場の改善を導く技術のことです。
本書は次の5つの視点からサーベイ・フィードバックを論じています。
- なぜサーベイ・フィードバックが必要なのか?
- サーベイ・フィードバックの理論
- 効果的なサーベイ・フィードバックのプロセス
- サーベイ・フィードバックの盲点
- サーベイ・フィードバックの企業実践事例
この5つの視点から、サーベイ・フィードバックについて包括的に論じた書籍は、おそらく本邦でこれがはじめてになります。
サーベイ・フィードバックの知見は、勘と経験によるマネジメントから抜け出すために不可欠な現代マネジメントスキルであると言えます。
あなたも本書を活用し、職場の改善を図っていきませんか。
- 経営者
- マネージャー
- 学校教育の現場にいる方々
- 人事部や経営企画部の方々
本書の構成について
本書は全部で6章から構成されています。
- なぜサーベイ・フィードバックが必要なのか?
- サーベイ・フィードバックの理論
- 効果的なサーベイ・フィードバックのプロセス前編
- 効果的なサーベイ・フィードバックのプロセス後編
- サーベイ・フィードバックの盲点
- サーベイ・フィードバックの企業実践事例
サーベイ・フィードバックの3つのステップ
サーベイ・フィードバックでは、サーベイを通じて現場を変革するために、通常、次の3つのステップを踏みます。
サーベイを通して、普段は見えていないチームや組織の課題を「可視化」する
見える化した組織的課題に、チーム・関係者全員で向き合い、その問題の解決・解消をめざして話し合う
これから自分たちの組織・チームをどうしていくかの「未来」を、当事者たちが「自分ごと」として決め、アクションプランをつくる
見える化されたデータが、「現場」を変えるわけではありません。「データ」に現場の人々が向き合い「対話」してこそ、現場が変わるのです。
サーベイ・フィードバックが現代の組織に必要な理由とは
必要な理由は2つあります。
- 多様化する職場メンバーをマネジメントしなければならないから
- 慢性的な人手不足のなか、社員のエンゲージメントを高めて離職防止を図り、生産性を高める必要があるから
現代社会において、会社・組織を取り巻く状況は急速に変化・悪化してきているという問題意識を著者は強く持っています。
したがって、
組織の状況やコンディションを常にサーベイによって把握し、これらに対する効果的な施策をあなたは打っていかねばならないのです。
フィードバック・ミーティングの6つのステップ
フィードバック・ミーティングを成功させるためには、次の6つのステップをどのように進めていくのか、しっかりと準備することが重要となります。
職場やチームの関係者を一堂に集めることを目指す。その上でこの会の目的、アジェンダなどを話し合う。
各人が本音の対話ができるように守るべきルールを設定する。
なるべくシンプルに、データを提示する。見るべき部分を焦点化するなどのことは行ってもよい。
データに対して、各人が日頃から思っていること、感じていることを言ってもらう。
今、自分たちはどのような状況にあり、将来どのようにありたいかを話し合う。
明日からできることを考える。具体的なアクションプランに落とし込んでいく。
アクションプランづくりの5つのポイント
アクションプランをつくるときにもっとも重要なことは、とにかく「具体的な行動」にすることです。その際には、次の5つのポイントに留意するといいと思います。
- 全員がかかわるアクションプランをつくる
- アーリーウィンをめざす。中長期的なステップを決める
- 悪者探しをしない
- アクションプランはフォローこそ重要
- 最後はねぎらいで終える
素手で戦わない
見える化やデータは、組織内において、あなたが思考しながら、対話しながら、未来を決定していくための確かな素材を提供してくれることでしょう。
素手で何かが変えられるほど、現代の組織の課題は単純でも簡単でもありません。
サーベイによる見える化とデータは、誰もが働きやすいと同時に、筋肉質である組織をつくりあげるために大いに役立つはずです。
今日も明日も順調に「難問」だらけの組織において、対話が生まれ、自分たちの未来を力強く決めていくことに、本書のささやかな知見が何らかのかたちで役に立つことを願っています。