良い人材が健全に定着する組織を科学的に作る方法
MBAを持ち、産業医兼経営コンサルタントの上村紀夫氏は言います。
本書では、「組織の病巣」を最も効率よく取り除くための「ターゲティング戦略」=「対応すべきターゲットを絞ることで、効率よく組織課題を解決する方法」をご紹介します。
業種や業態により、組織の病巣はそれぞれ異なるものの、それらを生み出す原因は共通していると著者は断言します。
共通する原因とは?
マイナスの感情の蓄積に他なりません。
マイナス感情とは、端的に言うと、不満や不公平感となります。
本書では、私が「組織の病巣を見抜くプロ」として、そして「ココロを扱う産業医」のパイオニアとして活動してきた中で蓄積されたナレッジとノウハウを、余すことなく公開しています。
- 会社を良くしたいと切実に願う経営者
- 会社を良くしたいと切実に願う人事担当者
- 部下のモチベーションを上げたい上司
本書の構成について
本書は全部で7つのパートから構成されています。
- なぜ、組織は「病んでいく」のか?
- マイナス感情の感染メカニズム
- マイナス感情の発症メカニズム
- マイナス感情の伝染メカニズム
- 組織活性化のための「ターゲティング戦略」
- 組織活性化のための「正しいデータ活用法」
- 「社員を幸せに」する前にやるべきこと
組織の病が改善されない2つの原因
次の2つとなります。
- 組織が病んでいくそもそものメカニズムを理解できていない
- 組織の「病巣」を切除する方法が間違っている
組織の病巣には「マイナス感情」が深く関わっています。
その感情はメンバーのココロに長期的に影響を与え、やがて組織全体にマイナス感情が蓄積していく過程をたどります。
押さえておかなければならないのは、
何にマイナス感情を抱くかは部署や職位、個人的背景などさまざまな要因に左右されるため、幅広い対象をカバーした施策は、全員に対して有効的に機能しない。
マイナス感情の発生対象
社員のマイナス感情の発生対象は次の3つのカテゴリーに分類されます。
- 心身コンディション
- 働きやすさ
- 働きがい
これらは人が活き活きと働けるかどうかを決めている3つの要素であり、著者は「個人活性」と呼んでいます。
個人活性3要素はピラミッド構造。根底にある心身コンディションがグラつくと、働きやすさ、働きがいも崩れるように、ひとつがダメージを負うと他の要素も影響を受ける。
無関心と想像力の欠如
組織内のマイナス感情を最小化することを阻んでいる最大の敵はなんでしょうか?
その答えは、
「無関心」と「想像力の欠如」です。
あなたは一緒に働いている仲間のココロに関心を払っているでしょうか。
あなたは一緒に働いている仲間がどのような想いや感情を抱えているのかに想像力を働かせているでしょうか。
私は、これまで多くの会社でマイナス感情が蓄積している原因を分析してきましたが、その結果わかったことは、「社員のココロに関心を持っている経営・人事・管理職が少ない会社であればあるほど、マイナス感情が蓄積している」というシンプルな事実です。
活き活きとした組織にするために
組織を活性化したり、職場での満足度・幸福度を高めるために、あなたはもしかすると「何かを足そう」と施策を講じるかもしれません。
もちろん、そのような行動は間違いではありません。
しかしながら、有効な手段とも言い切れません。
あなたがやるべきはまずは「取り除く」ことなのです。
マイナス感情を取り除く。
ここから始めるべきなのでしょう。
何かを足してプラスの感情を生み出そうとするのではなく、まずマイナス感情の蓄積を解消すること、重りを取り除くことからスタートすることが、最も効果的な施策。