世界のエグゼクティブが目指す新しいリーダーシップ像をあなたも学んでみませんか
「ハーバードビジネスレビュー」に掲載された論文や記事をテーマ別に書籍化したシリーズであるEIシリーズ(感情的知性シリーズ)。その中のひとつである本書は、新しいリーダーシップ像についてコンパクトに解説されている人気の書籍(160ページ程度)となります。
序の「日本語版に寄せて」において中竹竜二氏が指摘しているように、リーダーシップ論の歴史は長く、そのスタイルは今も時代とともに変化し続けています。
以下、中竹氏の解説を中心に本書についてご紹介していきます。
- おなじみの「カリスマ型(トップ型)リーダーシップ」
- 支援型である「サーバント・リーダーシップ」
- メンバーの主体性を引き出す「フォローアップ・リーダーシップ」
- 状況により柔軟に対応する「シチュエーショナル・リーダーシップ」
あなたもご存じであるリーダーシップの数々に、今回加わることになり、今注目を浴びているリーダーシップ論。
それが、オーセンティック・リーダーシップです
オーセンティック・リーダーシップとは?
そもそも「オーセンティック」とは、「本物の」「真正の」「確実な」という意味であり、その語源はギリシア語の「根源となる」だ。
自身の根源、すなわち「自分らしさ(オーセンティシティ)」を求めるリーダーシップとなります。
他者ではなく自分自身に矢印を向け、自分のあり方を考える。端的に言うと「自分らしさを貫く」ことを最も大切にしているリーダーシップ論だ。自分らしさを軸に、自らの目標に情熱的に取り組み、自らの価値観をぶれることなく実践していくことである。
「自分らしさ」という表現があなたにぴんと来ないのであれば、次のように言い換えてもいいでしょう。
軸、個性、こだわり、スタイル
真の自分を引き出すことができるのであれば、呼び方は問わないと中竹さんは言います。
本書では、オーセンティックを「自分らしさ」と表現してきたが、それを「軸」「個性」「こだわり」と表現する人たちもいる。これまで私は「スタイル」と呼んできた。いずれも、正しい。それが真の自分を引き出すのであれば。
あなたも「型にはまった」リーダーシップではなく、「自分らしい」リーダーシップを目指そうではありませんか。
こんな人にオススメ
- リーダーを目指す人
- リーダーになって悩んでいる人
- リーダーを育てる立場にある人
本書の構成について
全部で10のパートに分かれています。多くの記事や論文から構成されるパッチワークとなります。
- 「自分らしさ」を貫くリーダーシップ
- 「自分らしさ」を保つ工夫
- 弱さを隠さない上司に起こる素晴らしいこと
- タフ・エンパシーを実践する
- 新入社員にはまず「自分らしさ」を意識させよ
- 「自分らしさ」があだになる時
- オーセンティック・リーダーシップの弊害
- マイノリティの昇進を阻む「リーダーらしさの規範」
- 謝罪では自らの責任を求めること
- リーダーは感情をあらわにすべきか
本書では、それぞれの研究論文で思想や主張が異なり、互いに補完したり、相反したりと、章ごとにバラエティに富んだエッセンスが散りばめられている。その多様性や矛盾を楽しんでもらいたい。
読み進めていくうちに、自分なりのリーダー像を「ものさし」として置きながら、各論者の主張を吟味していくという読書スタイルが有効であると思います。
自分をさらけ出す勇気をリーダーとして求められている時代
中竹氏は言います。
自分自身のなかにある根源的な自分らしさ。それを、自覚し、首尾一貫して発揮していくことが、オーセンティック・リーダーシップだ。根源的とは、内側に潜む本当の自分ということである。
根源的な自分を覗いてみるならば、そこには自身で「認めたい面」も「認めたくない面」も存在していることでしょう。
あなたの中には「強み」もあれば「弱み」もたくさんあるはずです。
根源的な自分らしさを知るには、おそらく自分をさらけ出すことが一番の近道であるかもしれません。
弱みを包み隠さず、恥を偲んで恥を認め、共に働く人たちに周知していく。
リーダーとしてプライドを持つあなたにはとても難しい行いであるかもしれません。
リスクがもちろん伴いますが、そこにはやるだけの価値が必ずあります。
他者に弱さを見せることは、恥ずかしいし、危険なこと。一方で、誰もが認めるその怖さ(=障壁)を自ら打ち破る勇気こそ、裏返すと、「強さ」の象徴とも言えるのだ。
ありのままでいることは難しく、ありのままを認めてもらうことはもっと困難です。
恥を恐れず、周囲の評価や「べき論」から解き放たれ、自分が心からやりたいことに、首尾一貫して、自分らしく突き進む姿は、リーダーだけでなく、誰にとっても、パワフルに感じるはずだ。そして、その勇気は伝染するのだ。
リーダーシップはあなた自身の中にきっと眠っているに違いありません。
さあ、目覚めさせましょう。