AIよりも人間に得意なこととはなにか?
脳神経科学者の大黒達也氏は言います。
本書のテーマは、「自分の才能を伸ばす」です。
ここで取り上げられるのは、「評価される個性」です。
評価される個性を著者は「才能」と定義付けます。
個性をすべて「才能」とするには乱暴ですが、個性がなければ才能にはなりえません。ならば「才能」を伸ばすためには、まず「個性」とは何かを理解し、「個性」を伸ばすことが重要とはいえると私は考えています。
人間の脳のゆらぎから生まれる個性を知ることが、個性を伸ばすための近道であるはずです。
- やりたい仕事が見つからない方
- 自分自身に自信を失くしている方
- もっと向上したいと努力している方
本書の構成について
本書は全部で5章から構成されています。
- 脳の統計学習とは何か?
- 個性や創造性は「ゆらぎ」から生まれる
- 本質を知ること、意欲をもつこと
- 収束的思考と拡散的思考の共創
- 人間を生かす、個性を生かす
統計学習とは
統計学習とは、脳の普遍的なシステムです。
私たちの身の回りで起こる様々な現象・事象の「確率」を自動的に計算し、整理する脳の働き・システムを指します。
無意識に確率を計算することによって、
- 社会の中で危険を適切に察知します。すなわち脳は安心したいのです。
- 身構えるべき現象にだけエネルギーを使用することができます。すなわち脳は楽をしたいのです。
不確実性のゆらぎ
不確実性の「ゆらぎ」は個性や創造性の源となります。
この不確実性のゆらぎを上手にコントロールすることが重要なのです。
そのためには、モチベーションがキーとなります。
モチベーションは次の2つに分けられます。
- 外発的意欲
- 内発的意欲
外発的意欲とは、
金銭的報酬や他者による称賛などを目的とする行動意欲を指します。
確実に報酬を得るための方法がある程度限られているので、「不確実性の低い情報」に目を向けがちです。
内発的意欲とは、
達成感や充足感など、己の内側から湧き出るような意欲を指します。
知的好奇心のように知らなかったこと(不確実な情報)を理解することで脳の喜び・報酬がえられるので、「不確実性の高い情報」に興味を持ちます。
創造性には2つの思考が大切
ここで最もお伝えしたい重要なことは、「収束的思考」は、「拡散的思考」と同等に創造性に欠かせないものであるということです。
収束的思考とは、
ある問題について唯一の解を追求する思考を指します。
拡散的思考とは、
唯一の解を追及するのではなく、「新しい発想を無数に拡散させていく思考」を言います。
創造性の高いものを生み出すために大事なのは拡散的思考だけではなく、拡散的思考と収束的思考の両方ともをバランスよく使い、生かし合うことであるといえるでしょう。
創造的な解決策
問題の確認と整理 解決策の立案
一度問題から離れる
アイデアがひらめく
アイデアの検証と精査