「たかが仕事」には殺されたくないと思っているあなたには「ふむふむ」の内容が盛りだくさん
「脱社畜ブログ」を主催されている著者の日野瑛太郎氏は、ブログや著作を通じて、現代の日本人の働き方に対する鋭い意見を発信し続けておられます。
この本では、「やりがい」のために働くことがいちばん大事で、そのためであれば他のものを犠牲にしても構わない、という従来の働き方とはまた別の選択肢を提案したいと考えています。
本書が初めて世に問われたのは今から5年前の2014年となります。
当時と比較して、おそらく著者の感覚はある程度世の中に広がり、今ではもっと広く共有されていると思われます。
その一方で、サービス残業がまかり通っている会社は現在も後を絶たちません。
「やりがい」の名のもとに、労働環境や労働条件をうやむやにされ、犠牲を強いられる働き方をせざるを得ない労働者が少なくないのです。
著者は怒っています。
たかが仕事の「やりがい」のためにプライベートを犠牲にし、劣悪な労働環境でいいように使われて、心身ともにすり減ってしまうというのはアホらしいと思いませんか。
日本のガラパゴス化した労働慣行や職場に蔓延する理不尽や違和感について、ストレートな意見がこれでもかとつづられています。
本書を読んで、次のように思えるあなたは「正常」と言えます。
「なんだ、全部あたりまえのことじゃないか」
僕がこの本で書いてきたことは、言ってみればすべて「あたりまえ」のことにすぎません。
本書は、刺激的に過ぎる表現が多いために誤解されやすい書籍であるかもしれません。
けれども、
注意深く日野さんの発声に耳を傾けるのならば、彼の真意があなたにもわかるはずです。
一元的で同調的な価値観で労働が管理されている状態は不自然である。
そのように私には聞こえます。
この本の目的は、1人でも多くの人に会社独自のいわゆる「社畜」的な価値観から脱却してもらい、「あたりまえ」のことを「あたりまえ」だと認識してもらうことにありました。
著者の社畜の定義は「社畜=会社と自分を切り離して考えることができない会社員」となります。
働き方や労働に対する思いや考え方は本来、人の数だけあってしかるべきです。
多様な価値観が存在し、お互いに一定程度敬意を払い、相互に配慮する職場こそが健全で目指されるべき職場であると、本書を読み終わりあらためて感じました。
これからの「あたりまえ」が本書にはちりばめられています。
仕事に「やりがい」を求める人も、「やりがい」を求めない人も、互いに相手の価値観をおとしめることなく働けるようになれば、日本の職場も少しは息苦しくなくなるのではないでしょうか。
あなたの職場、酸欠状態になっていませんか。
- ストレスが多くてスカッとしたい方
- 悩める管理職
- 職場をもっとよくしたいと思っている方
本書の構成について
全部で4章から構成されています。
- あ、今日は用事があるんで定時に失礼します。
- いえ、それは僕の仕事じゃないんで。
- はい、将来の夢は毎日ゴロゴロ寝て暮らすことです!
- えー、「従業員目線」で考えますと・・・
適度に配置された深川直美さんのイラストがこれまたユニークです。
自分の価値観を大事にしよう
「自分の価値観を大事にしよう」という実に拡大解釈されやすいこのメッセージの中心をあなたはくれぐれも見誤らないでください。
正しく理解するためには、著者の次の言葉を忘れないことです。
ひとつ言えることがあるとしたら、「人それぞれ、いろんな考え方がある」という当たりまえの事実だけです。
自分の価値観を大事にするということは、他人の価値観も同様に大事にするということにほかなりません。
他人の価値観を押し付けられることも、自分の価値観を押し付けることも、どちらも等しく健全ではないはずです。
大事会社の価値観を短絡的に全否定するのではなく、認めるべきところは受け入れる。
と同時に、
大事自分の価値観についても自身で正面から向きあい、それを表明し、実現していく。
多様な価値観を認めるというごく「あたりまえ」が共有されたとき、あなたの職場から「社畜」はきっといなくなっているはずでしょう。