ジョブ型雇用は成果主義の二の舞か?生産性を上げる救世主か?
松本順市氏は言います。
この本は、「ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用、どちらがいいのか論争」に片をつけた本です。
コンサルタントである著者は、40年以上にわたり、人事の問題を解決するための仕組み作りを「社員の成長」という側面から研究・実践・指導されてきました。
人事制度に魔法の杖はありません。
丁寧に粘り強く、会社の実情や理念に即してアジャストしていくしかないのでしょう。
人事に関して課題があるのは、会社が病気になっているということ。そう考えると、トレンドなどに左右されることが、いかにおかしなことか。
- 経営層
- 人事部
- 現場のマネージャー
本書の構成について
本書は全部で5章から構成されています。
- ジョブ型雇用の限界
- 日本型雇用の問題の本質
- 日本型ジョブディスクリプションのすすめ
- 既存の人事制度をパワーアップする
- 不毛な人事制度論争との決別
成長シートとは
本書では、固定的な職務記述書ではなく、これからの職務記述書として「成長シート」に基づく人事制度の展開を提唱しています。
すなわち、日本型ディスクリプションのすすめです。
成長シートとは、各社員に求める期待成果、重要業務、知識・技術、勤務態度の内容とその成長段階がセットになったものです。
まさにこの成長シートは、日本型の職務記述書と言えます。しかも「やるべきこと」が明確化されているだけにとどまらず、次に何をすればさらに成長できるのかまで整理されています。
人事制度を変える最終的な目的が、社員を成長させ、その力を最大限に生かし、事業を伸ばすことであるのならば、雇用はメンバーシップ型にしつつ、仕事内容を可視化するというジョブ型のエッセンスを取り込むことで、両者のいいとこどりが実現されます。
そのことによって、
評価と賃金の不一致は解決しますし、社員は安心して自身の成長を目指すことができるのでしょう。