なぜ、仕事はできるのに部下を伸ばせないのだろうか?
組織人事コンサルタントの世古詞一氏は言います。
本書では、組織に所属する人が働きがいを感じながら、成長と成果を上げるために、この3つ(業務/個人/組織)の側面について、上司と部下が対話を通してすり合わせをしていくことの重要性について説いています。
そのために、
上司が具体的にどう対話を進めていけばいいのか、つまり何を(What)どう(How)すればいいのか、現場で実際に使える型とスキルを余すところなく紹介します。
部下とのコミュニケーションの重要性を軽視しているマネージャーは皆無でしょう。
けれども、
- 何を話せばいいのか
- どう話を深めていけばいいのか
これらの点を明確に理解しているマネージャーは少ないのです。
実際に対話していくことで、部下の成長が促進されて成果が上がり、従業員エンゲージメントも高まっていくと確信しています。
- 迷えるマネージャー
- 上司と円滑なコミュニケーションを取りたい部下
- 人事部
本書の構成について
本書は全部で7章から構成されています。
- なぜ、組織において対話が必要なのか
- 「何を(What)」すり合わせるかーすり合わせ9ボックス
- 「どう(How)」すり合わせるかーしゃべってもらうスキル
- 「どう(How)」すり合わせるかーフィードバックするスキル
- 「何を(What)」「どう(How)」すり合わせるかー業務レベル
- 「何を(What)」「どう(How)」すり合わせるかー個人レベル
- 「何を(What)」「どう(How)」すり合わせるかー組織レベル
対話の目的とは
対話の目的とは、
従業員の継続的な成果創出、モチベーション向上、成長促進、働きがい向上のために必要な業務・個人・組織に関する諸認識をすり合わせること
つまり、次の3つの領域において、レベルの齟齬が生じないようにすり合わせる必要があるのです。
- 業務レベル
- 個人レベル
- 組織レベル
もう少しばかり詳しく言うと、
- 主に業務から派生するテーマ
- 主に個人の成長やライフスタイルに関するテーマ
- 主に組織やチームに関するテーマ
3つのレベルがすり合ってつながっていくほど、所属する組織での働きがいを感じられるでしょう。
3つのレベルにおける対話の焦点は次のようになります。
- 業務レベルの対話を進めていくときに焦点を当てるのは「成果」です。
- 個人レベルでは、個人の「成長」に焦点を当てて考えます。
- 組織レベルでは、主に上司が持っている情報を部下に伝え、組織の方向性について「共感」してもらうことに焦点を当てます。
つまり、
- 成果
- 成長
- 共感
すり合わせ9ボックスとは
業務レベル
- 業務不安
- 振り返り
- 業務改善
個人レベル
- ライフスタイル
- パーソナリティ
- 将来キャリア
組織レベル
- 人間関係
- 理念・制度・カルチャー
- 組織方針
9ボックスは、対話の準備にも、対話中にも、対話後に振り返る場合にも活用できます。
部下にしゃべってもらうことの重要性
その理由は3つあります。
- 部下自身に気づきが生まれやすくなる
- 部下の本音が出てきやすくなる
- 部下のエネルギーが高まる
相手のペースを尊重して、相手が話したいように話してもらうことが大切です。
有益な2種類のフィードバック
部下にとって、有益なフィードバックは次の2種類です。
- ポジティブ・フィードバック
- チェンジ・フィードバック
ポジティブ・フィードバック
部下の行動が上司の期待に合致しているときに「合っているよ」と積極的に伝えることです。
- 具体的に伝える
- 心から伝える
- 結果ではなくプロセスに注目する
- 変化に着目する
- メールや手紙も効果的に使う
チェンジ・フィードバック
部下の行動が上司の期待とずれているときに「ずれているよ」と適切に伝えることです。
- 事実のすり合わせ
- 意味のすり合わせ
- 期待のすり合わせ
- 行動のすり合わせ
上司であるあなたは、
「部下の一番の支援者であり味方だ」と思ってもらわなければなりません。